学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ33A120

理由で解く 柔道整復師

QJ33A120 病理学概論

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問120
問題
疾患と原因の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 壊血病-ビタミンK 欠乏
2 血友病A-第Ⅷ因子欠乏
3 新生児メレナー・ビタミンC欠乏
4 特発性血小板減少性紫斑病-血管壁脆弱
解答
正解2(血友病A-第Ⅷ因子欠乏)
解説

血友病Aは凝固第Ⅷ因子の欠乏・活性低下によって起こる先天性の出血性疾患である。正しい組合せは2。

出血性素因の組合せ問題は、原因を「血管の問題」「血小板の問題」「凝固因子の問題」の3つに仕分けると一気に片づく。血管側の代表が壊血病(ビタミンC欠乏でコラーゲンが作れず、血管の支持組織がもろくなる)とIgA血管炎(アレルギー性紫斑病)、血小板側の代表が特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、凝固因子側の代表が血友病とビタミンK欠乏症である。ビタミンKは第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子の活性化に必須で、新生児は腸内細菌叢が未熟で、母乳中の含有量も少なく、胎盤も通りにくいため欠乏しやすい。ビタミンCとKは記号が似ていて入れ替えて出題されやすいので、「Cは血管(コラーゲン)、Kは凝固(Koagulation)」と紐づけて覚えると取り違えない。

✓ 2. 正しい
血友病A-第Ⅷ因子欠乏
血友病Aは、X染色体上にある第Ⅷ因子遺伝子の異常により第Ⅷ因子活性が低下する疾患で、伴性(X連鎖)劣性遺伝のため原則として男児に発症する。関節内出血(血友病性関節症)や筋肉内出血といった深部出血が特徴で、検査ではAPTTが延長し、PTと血小板数は正常。第Ⅸ因子が欠乏するものは血友病Bで、症状は区別しにくく因子活性の測定で鑑別する。運動指導や徒手療法にあたる場面では、関節や筋への強い外力や無理な可動域拡大を避け、出血徴候があれば主治医と連携する姿勢が求められる。
✗ 1. 誤り
壊血病-ビタミンK 欠乏
壊血病の原因はビタミンC欠乏。ビタミンCはコラーゲン合成の際にプロリンやリジンを水酸化する反応の補酵素で、欠乏すると成熟したコラーゲンが作れず血管壁や結合組織がもろくなる。歯肉の腫脹・出血、皮下出血、創傷治癒の遅れが典型。ビタミンK欠乏で起こるのは凝固因子(Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)の産生障害である。
✗ 3. 誤り
新生児メレナー・ビタミンC欠乏
新生児メレナ(新生児の吐血・下血)はビタミンK欠乏性出血症であり、ビタミンC欠乏ではない。新生児は腸内細菌によるビタミンK産生が乏しく、母乳中の含有量も少ないため欠乏に傾く。予防としてビタミンK2シロップの経口投与が行われる。
✗ 4. 誤り
特発性血小板減少性紫斑病-血管壁脆弱
特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病は、血小板膜蛋白に対する自己抗体ができ、脾臓のマクロファージに血小板が捕らえられて破壊されるために血小板数が減る疾患で、血管壁そのものは正常である。点状出血、紫斑、鼻出血、月経過多などがみられる。血管壁の脆弱が本態となるのは壊血病やIgA血管炎(アレルギー性紫斑病)、老人性紫斑である。
ポイント
  • 出血性素因は「血管」「血小板」「凝固因子」の3系統に分けて原因を仕分ける。
  • 血友病A=第Ⅷ因子欠乏、血友病B=第Ⅸ因子欠乏。いずれもX連鎖劣性で男児に発症し、APTT延長・PT正常。
  • ビタミンC欠乏=壊血病(コラーゲン合成障害→血管壁脆弱)。ビタミンK欠乏=第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子の産生障害(新生児メレナ)。
  • ITPは抗血小板抗体による血小板破壊亢進。点状出血・紫斑が主体。
  • 深部出血(関節内・筋肉内)は凝固因子異常、点状出血・粘膜出血は血小板/血管の異常を示唆する。
比較表
障害される部位代表疾患原因出血の特徴
血管壊血病ビタミンC欠乏によるコラーゲン合成障害歯肉出血、皮下出血、創傷治癒遅延
血管IgA血管炎(アレルギー性紫斑病)免疫複合体による小血管炎下肢の触知可能な紫斑、腹痛、関節痛
血小板特発性血小板減少性紫斑病(ITP)抗血小板抗体による破壊亢進(脾臓)点状出血、紫斑、鼻出血、月経過多
凝固因子血友病A/B第Ⅷ因子/第Ⅸ因子の欠乏(X連鎖劣性)関節内出血、筋肉内出血などの深部出血
凝固因子新生児メレナビタミンK欠乏(Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子の産生障害)吐血・下血などの消化管出血
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