学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §11 骨の生理 / QJ33A102

理由で解く 柔道整復師

QJ33A102 生理学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問102
問題
ビタミンDで正しいのはどれか。
選択肢
1 骨形成を抑制する。
2 皮膚で分解される。
3 カルシトニンの分泌を促進する。
4 腸管のカルシウムイオン吸収を促進する。
解答
正解4(腸管のカルシウムイオン吸収を促進する。)
解説

ビタミンDの主な役割は血中カルシウム濃度を保つことで、その最大の作用点が小腸からのカルシウム吸収の促進です。まず「ビタミンD=血中Caを上げる側」と位置づけると、各肢の向きが判断できます。

皮膚のコレステロール誘導体(7-デヒドロコレステロール)が紫外線を受けてビタミンD3になり、肝臓で25位、腎臓で1位が水酸化されて活性型の1,25-ジヒドロキシビタミンD(カルシトリオール)になります。腎臓での最終段階は副甲状腺ホルモン(PTH)によって促されます。活性型ビタミンDは小腸粘膜でカルシウム結合タンパクの合成を高めてカルシウム(とリン)の吸収を増やし、腎尿細管でもカルシウム再吸収を助けます。こうして材料が確保されることで骨の石灰化が進み、不足すると小児ではくる病、成人では骨軟化症が起こります。日光曝露・肝臓・腎臓の3段階のどこが欠けても活性型が不足する、という流れで覚えると臨床像とつながります。

✓ 4. 正しい
腸管のカルシウムイオン吸収を促進する。
活性型ビタミンDの中心的な作用です。小腸上皮に働いてカルシウム輸送のしくみ(カルシウム結合タンパクなど)を増やし、食事由来のカルシウム吸収率を高めます。リンの吸収も同時に高まるため、骨の石灰化に必要な材料がそろいます。
✗ 1. 誤り
骨形成を抑制する。
向きが逆です。ビタミンDは骨の石灰化に必要なカルシウムとリンを供給する立場にあり、欠乏すると骨基質が石灰化できずにくる病・骨軟化症を起こします。血中カルシウムを保つためにPTHと協調して骨からの動員(骨吸収)にも関与しますが、それは「血中濃度の維持」の一手段であって、骨形成を抑えることが本来の作用ではありません。欠乏したときに骨がどうなるかを思い出すと、向きを取り違えずに済みます。
✗ 2. 誤り
皮膚で分解される。
皮膚は分解の場ではなく、出発点です。紫外線を受けて前駆体からビタミンD3がつくられるため、日照不足や極端な紫外線遮断が欠乏の原因になります。その後の活性化は肝臓(25位)と腎臓(1位)で進み、腎不全では活性型が不足する、という順路で押さえます。
✗ 3. 誤り
カルシトニンの分泌を促進する。
※この選択肢は原文に表記の乱れがあります(「カルシトニンの分」は「カルシトニンの分泌」と読むのが自然です)。ただし読み方が確定しなくても、以下の一点で誤りと判定できます。
カルシトニン(甲状腺傍濾胞細胞から分泌され、血中カルシウムを下げるホルモン)の分泌を動かす主な刺激は、血中カルシウム濃度そのものの上昇です。したがって、ビタミンDの働きで血中カルシウムが上がった結果として二次的にカルシトニン分泌が変化することはあっても、それはカルシウム濃度が引き起こした変化であって、ビタミンDの直接の作用ではありません。この設問はビタミンD自体の作用を問うているので、答えとして挙げるべきは腸管でのカルシウム吸収促進(選択肢4)のほうです。カルシウム調節は「上げる組(PTH・活性型ビタミンD)」と「下げる組(カルシトニン)」に分けたうえで、さらに「そのホルモンの直接作用か、濃度変化を介した二次的な反応か」を区別して整理してください。
ポイント
  • ビタミンDは「血中カルシウムを上げる側」。最大の作用は小腸からのカルシウム(とリン)吸収の促進。
  • 活性化の順路は皮膚(紫外線でD3生成)→ 肝臓(25位水酸化)→ 腎臓(1位水酸化、PTHが促進)→ 活性型(カルシトリオール)。
  • 腎尿細管でのカルシウム再吸収も助け、確保したカルシウムで骨の石灰化が進む。
  • 欠乏症は小児でくる病、成人で骨軟化症。日照不足・肝障害・腎不全がいずれも原因になりうる。
  • カルシトニンは血中カルシウム上昇そのものを刺激として分泌され、骨吸収を抑えて血中カルシウムを下げる「反対の組」。血中カルシウム濃度の変化を介した二次的な反応であって、ビタミンDの直接作用ではない。
比較表
調節因子血中カルシウムへの向き腸管腎臓
活性型ビタミンD上げるカルシウム・リン吸収を促進石灰化の材料を供給/骨吸収にも関与カルシウム再吸収を促進
副甲状腺ホルモン(PTH)上げる間接的に促進(腎で活性型D生成を促す)骨吸収を促進カルシウム再吸収↑・リン排泄↑
カルシトニン下げる影響は小さい骨吸収を抑制カルシウム排泄↑
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