学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ33A064

理由で解く 柔道整復師

QJ33A064 解剖学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問64
問題
声帯筋を支配するのはどれか。
選択肢
1 副神経
2 三叉神経
3 舌咽神経
4 迷走神経
解答
正解4(迷走神経)
解説

喉頭の筋はすべて迷走神経の枝(反回神経・上喉頭神経)が支配する。声帯筋も迷走神経支配で、正解は 4 である。

喉頭筋は発生学的に第4・第6鰓弓に由来し、そこから分化した筋は迷走神経が支配するという原則がある。実際には、輪状甲状筋(声帯を緊張させて高い声を出す)だけが上喉頭神経の外枝に支配され、それ以外の内喉頭筋——後輪状披裂筋(唯一の声門開大筋)、外側輪状披裂筋、横・斜披裂筋、甲状披裂筋(その内側部が声帯筋)——はすべて反回神経(下喉頭神経)の支配を受ける。反回神経は左は大動脈弓を、右は右鎖骨下動脈を回って気管と食道の間を上行するため、甲状腺手術や胸部大動脈瘤、肺癌の縦隔浸潤などで障害されると嗄声が生じる。両側が麻痺すると声門が閉じたままとなり呼吸困難を招くので、術後は声の変化と呼吸状態を早期に確認することが大切である。

✓ 4. 正しい
迷走神経
声帯筋は甲状披裂筋の内側部にあたり、声帯ヒダの中で声帯靱帯に沿って走る。支配は迷走神経の枝である反回神経(下喉頭神経)で、収縮すると声帯の張力と厚みを微調整して声の高さや音色を変える。喉頭の運動枝と感覚枝がいずれも迷走神経系である点をまとめて押さえるとよい。
✗ 1. 誤り
副神経
副神経(第Ⅺ脳神経)は胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配する。延髄根が迷走神経に加わって内喉頭筋の運動に関与するという古典的な記載はあるが、国家試験で問われる「声帯筋の支配神経」としては迷走神経を答える。
✗ 2. 誤り
三叉神経
三叉神経(第Ⅴ脳神経)の運動枝(下顎神経)は咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋)のほか、顎舌骨筋、顎二腹筋前腹、鼓膜張筋、口蓋帆張筋を支配する。第1鰓弓由来の筋であり、喉頭とは系統が異なる。
✗ 3. 誤り
舌咽神経
舌咽神経(第Ⅸ脳神経)が支配する骨格筋は茎突咽頭筋のみである。舌後1/3の味覚・一般感覚と咽頭の感覚、耳下腺の分泌(耳神経節を経由)を担うが、喉頭筋は支配しない。
ポイント
  • 喉頭筋はすべて迷走神経支配。輪状甲状筋のみ上喉頭神経外枝、残りは反回神経(下喉頭神経)。
  • 声帯筋=甲状披裂筋の内側部。反回神経支配で、声の高さと音色を微調整する。
  • 唯一の声門開大筋は後輪状披裂筋。両側反回神経麻痺で声門が開かず呼吸困難となる。
  • 反回神経は左が大動脈弓、右が右鎖骨下動脈を回る。左のほうが長く走行し障害されやすい。
  • 嗄声を訴える人には、甲状腺手術歴や胸部疾患の有無を確かめ、必要なら耳鼻咽喉科での喉頭内視鏡評価につなげる。
比較表
脳神経支配する骨格筋由来する鰓弓
三叉神経(Ⅴ)咀嚼筋、顎舌骨筋、顎二腹筋前腹、鼓膜張筋、口蓋帆張筋第1鰓弓
顔面神経(Ⅶ)表情筋、顎二腹筋後腹、茎突舌骨筋、アブミ骨筋第2鰓弓
舌咽神経(Ⅸ)茎突咽頭筋第3鰓弓
迷走神経(Ⅹ)咽頭筋(大部分)、軟口蓋の筋(口蓋帆張筋を除く)、喉頭筋すべて(声帯筋を含む)第4・第6鰓弓
副神経(Ⅺ)胸鎖乳突筋、僧帽筋
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