学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ33A058

理由で解く 柔道整復師

QJ33A058 解剖学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問58
問題
総腓骨神経が支配するのはどれか。
選択肢
1 大腿二頭筋短頭
2 大腿二頭筋長頭
3 半腱様筋
4 半膜様筋
解答
正解1(大腿二頭筋短頭)
解説

ハムストリングのうち、総腓骨神経(坐骨神経の総腓骨神経部)が支配するのは大腿二頭筋短頭だけで、正解は 1 である。

坐骨神経は仙骨神経叢(L4〜S3)から起こる人体最大の神経で、外見は1本でも内部では初めから脛骨神経部と総腓骨神経部の2本が並走しており、通常は膝窩の上方で脛骨神経と総腓骨神経に分かれる。大腿後面の筋(ハムストリング)は、大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋、および大内転筋の坐骨部が脛骨神経部の支配を受けるのに対し、大腿二頭筋短頭のみが総腓骨神経部の支配を受ける。これは短頭が坐骨結節ではなく大腿骨粗線外側唇から起こる、発生学的に由来の異なる筋であることに対応している。「ハムストリングで一つだけ仲間はずれ=大腿二頭筋短頭」と押さえておくと、起始(唯一坐骨結節から起こらない)と神経支配の両方が同時に整理できる。

✓ 1. 正しい
大腿二頭筋短頭
大腿二頭筋短頭は大腿骨粗線外側唇から起こり、長頭と合して腓骨頭に停止する。坐骨結節から起こらない唯一のハムストリングであり、支配も他と異なって坐骨神経の総腓骨神経部(総腓骨神経)による。作用は膝関節の屈曲と下腿の外旋で、股関節をまたがないため股関節伸展には働かない。
✗ 2. 誤り
大腿二頭筋長頭
大腿二頭筋長頭は坐骨結節から起こり腓骨頭に停止する。支配は坐骨神経の脛骨神経部(脛骨神経)である。同じ大腿二頭筋でも長頭と短頭で神経が分かれる点が、この問題の要である。
✗ 3. 誤り
半腱様筋
半腱様筋は坐骨結節から起こり、鵞足(縫工筋・薄筋とともに)として脛骨粗面内側に停止する。支配は坐骨神経の脛骨神経部で、股関節伸展と膝関節屈曲・下腿内旋に働く。
✗ 4. 誤り
半膜様筋
半膜様筋は坐骨結節から起こり脛骨内側顆に停止する。支配は坐骨神経の脛骨神経部。半腱様筋とともに膝を屈曲し下腿を内旋させる。
ポイント
  • ハムストリングで総腓骨神経支配は大腿二頭筋短頭のみ。他の3筋(+大内転筋坐骨部)は脛骨神経支配。
  • 大腿二頭筋短頭は唯一坐骨結節から起こらない(大腿骨粗線外側唇起始)ため、股関節には作用しない。
  • 坐骨神経は外見1本でも内部は脛骨神経部と総腓骨神経部の2束。この構造が支配の分かれ目を説明する。
  • 膝屈曲時の下腿回旋は、外側の大腿二頭筋が外旋、内側の半腱様筋・半膜様筋が内旋と、位置で判断できる。
  • 総腓骨神経は腓骨頭の後外側を回るため圧迫に弱く、下垂足(前脛骨筋麻痺)を起こしやすい。触知して走行を確認しておく。
比較表
起始停止支配神経
大腿二頭筋 長頭坐骨結節腓骨頭坐骨神経(脛骨神経部)
大腿二頭筋 短頭大腿骨粗線外側唇腓骨頭坐骨神経(総腓骨神経部)
半腱様筋坐骨結節脛骨粗面内側(鵞足)坐骨神経(脛骨神経部)
半膜様筋坐骨結節脛骨内側顆坐骨神経(脛骨神経部)
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