学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ33A056

理由で解く 柔道整復師

QJ33A056 解剖学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問56
問題
精巣挙筋に移行するのはどれか。
選択肢
1 外腹斜筋
2 内腹斜筋
3 錐体筋
4 腹直筋
解答
正解2(内腹斜筋)
解説

精巣挙筋は内腹斜筋(および腹横筋)の下縁の筋束が精索へ移行したもので、正解は 2 である。

精巣は発生の途中で後腹壁から鼠径管を通って陰嚢へ下降する。このとき腹壁の各層を押し広げながら進むため、精索と精巣は腹壁と同じ順序の膜をまとうことになる。外側から順に、外腹斜筋腱膜に由来する外精筋膜、内腹斜筋(および腹横筋)の筋線維に由来する精巣挙筋と精巣挙筋膜、腹横筋膜に由来する内精筋膜が包み、最も内側に腹膜由来の精巣鞘膜がある。つまり精巣挙筋だけが「筋」として残るのは、下降の際に押し出された層が内腹斜筋の筋束だったからである。この筋が収縮すると精巣が引き上げられ、大腿内側をこすると同側の精巣が挙上する挙睾筋反射がみられる。反射弓はいずれも陰部大腿神経(L1〜L2)が担うが、求心路は大腿内側の皮膚感覚を伝える大腿枝、遠心路が精巣挙筋を動かす陰部枝であり、枝のレベルでは往路と復路が分かれる点に注意する。

✓ 2. 正しい
内腹斜筋
内腹斜筋の下縁の筋束(および一部は腹横筋の下縁)が、精巣の下降に伴って鼠径管内で精索を取り巻くように引き出され、精巣挙筋となる。腱膜ではなく筋線維に由来するため収縮性をもち、寒冷刺激や皮膚刺激で精巣を体幹に引き寄せて温度を調節する。支配神経は陰部大腿神経の陰部枝。
✗ 1. 誤り
外腹斜筋
外腹斜筋は最も外側の層で、その腱膜が精索の最外層である外精筋膜に移行する。また腱膜の下縁が折れ返って鼠径靱帯となり、鼠径管の浅鼠径輪をつくる。筋そのものが精索内に入るわけではない。
✗ 3. 誤り
錐体筋
錐体筋は恥骨から起こり白線に停止する小さな三角形の筋で、白線を緊張させるはたらきをもつ。腹直筋鞘の中にあり、精索や精巣挙筋とは連続しない(欠損することもある)。
✗ 4. 誤り
腹直筋
腹直筋は恥骨から起こり第5〜7肋軟骨と剣状突起に停止する縦走筋で、体幹の屈曲と腹圧上昇を担う。腹直筋鞘に包まれ、鼠径管や精索の構成には関与しない。
ポイント
  • 精索の被膜は腹壁の3層と対応する。外精筋膜=外腹斜筋腱膜、精巣挙筋=内腹斜筋(+腹横筋)、内精筋膜=腹横筋膜。
  • 「筋線維として残るのは真ん中の層」と覚えると、精巣挙筋=内腹斜筋がすぐ出る。
  • 鼠径管は前壁が外腹斜筋腱膜、後壁が腹横筋膜、上壁が内腹斜筋・腹横筋、下壁が鼠径靱帯。
  • 精巣挙筋の支配神経は陰部大腿神経の陰部枝。
  • 挙睾筋反射は求心路が陰部大腿神経の大腿枝(大腿内側の皮膚感覚)、遠心路が陰部枝(精巣挙筋)。いずれも陰部大腿神経(L1〜L2)で、枝が分かれる点まで押さえる。
  • 精索の内容は精管・精巣動静脈(蔓状静脈叢)・神経・リンパ管。被膜と内容を分けて整理する。
比較表
腹壁の層精索・精巣での対応性状
外腹斜筋(腱膜)外精筋膜膜(筋線維は残らない)
内腹斜筋(+腹横筋の下縁)精巣挙筋・精巣挙筋膜筋線維として残る
腹横筋膜内精筋膜
腹膜(腹膜鞘状突起)精巣鞘膜(臓側板・壁側板)漿膜
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