学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 必修問題 ▸ §18 肩関節烏口下脱臼の固定 / QJ33A021
理由で解く 柔道整復師
前方(烏口下)脱臼の固定肢位は「再脱臼させる方向の逆」を作るのが原則です。外転・外旋・水平伸展を避け、軽度外転・水平屈曲30度・内旋位で保持します。
烏口下脱臼は上腕骨頭が関節窩の前下方(烏口突起の下)へ逸脱したもので、肩関節脱臼の大多数を占めます。受傷肢位は肩の外転・外旋・水平伸展の複合であり、この方向では前方の関節包・関節唇・下関節上腕靱帯という損傷部位が引き伸ばされ、断端が離れてしまいます。そこで整復後は逆に、上腕を体幹に接して保持し、およそ肩甲骨面(前額面より約30度前方=水平屈曲30度)に上腕を置き、内旋位に保つことで前方の支持機構を緩ませ、断端どうしを近づけた状態で治癒させます。ここでいう「軽度外転」は、腋窩に枕子(綿花枕)を入れて上腕と体幹の間にわずかな間隙をつくるため、上腕が体幹に密着しきった内転位ではなく、体幹からごくわずかに離れた肢位になることを指しています。外転はあくまで体幹から遠ざける方向を表す用語であり、成書や他年度の設問が同じ固定を「肩関節軽度屈曲・内転・内旋位」と表現していても、上腕を体幹側へ寄せて保つという内容は同じで矛盾しません。実際には腋窩に枕子を入れたうえで、麦穂帯(スパイカ包帯)やデゾー包帯、三角巾とずれ止め包帯で上腕を体幹に固定し、肘関節は90度屈曲位とします。固定期間はおおむね3〜4週が目安ですが、高齢者では拘縮を防ぐため短めにし、固定中から手指・手関節・肘の自動運動を行わせます。あわせて腋窩神経障害の有無(三角筋の収縮と肩外側部の感覚)と末梢循環を確認します。
| 脱臼の方向 | 再脱臼を招く肢位 | 整復後の固定肢位 |
|---|---|---|
| 前方(烏口下) | 外転・外旋・水平伸展 | 軽度外転(腋窩に枕子)・水平屈曲30度・内旋位/上腕を体幹に接して保持 |
| 後方 | 内転・内旋・水平屈曲 | 軽度外転・外旋位 |
| 下方(腋窩) | 過度の外転・挙上 | 上腕を下制し体幹に接して保持 |
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