学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ32P098

理由で解く 柔道整復師

QJ32P098 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問98
問題
リトルリーガー肩で正しいのはどれか。
選択肢
1 大結節部に圧痛がある。
2 サルカス徴候が陽性となる。
3 ソルター・ハリスのⅡ型である。
4 内反変形を残すことがある。
解答
正解4(内反変形を残すことがある。)
解説

リトルリーガー肩は成長期の投球動作で生じる上腕骨近位骨端線離開。投球を続けると骨端の成長が障害され、上腕骨頭の内反変形を残すことがある。

骨端線が閉じていない少年期は、骨端線の軟骨部が周囲の骨や靱帯より力学的に弱い。投球の加速期から減速期にかけて上腕骨近位に強い回旋(捻り)と牽引が繰り返し加わることで、この骨端線が徐々に離開する。症状は投球時痛が中心で、上腕近位の骨端線部(三角筋停止部より近位)に限局した圧痛がみられ、エックス線で健側と比較すると骨端線の開大がわかる。基本は投球中止による安静で予後は良好だが、痛みを我慢して投げ続けると骨端の成長障害から上腕骨頭の内反変形を残すことがある。症状のある間は投球を止め、下肢・体幹のコンディショニングを続けながら、投球数と登板間隔、フォームを整えて段階的に復帰させる。

✗ 1. 誤り
大結節部に圧痛がある。
圧痛の中心は上腕骨近位の骨端線部であり、大結節ではない。大結節部の圧痛は棘上筋など腱板付着部の障害を示唆する所見で、別の病態を指す。
✗ 2. 誤り
サルカス徴候が陽性となる。
サルカス徴候は上腕を下方に牽引したときに肩峰下に溝(サルカス)が現れる所見で、肩関節の下方・多方向不安定性を示す。骨端線離開の所見ではない。
✗ 3. 誤り
ソルター・ハリスのⅡ型である。
骨幹端側の骨片を伴わず骨端線に沿って離開するものが主体で、ソルター・ハリスⅠ型に相当する。Ⅱ型は骨幹端の三角骨片を伴う型で、リトルリーガー肩の典型ではない。
✓ 4. 正しい
内反変形を残すことがある。
損傷が反復したり投球を続けたりすると骨端の成長が障害され、上腕骨頭の内反変形(上腕骨内反)を残すことがある。だからこそ、痛みがある間は投球を中止させ、経過をみながら復帰を管理する必要がある。
ポイント
  • 本態=成長期の投球による上腕骨近位骨端線離開。骨端線は軟骨で力学的に弱い。
  • 圧痛部位=上腕骨近位の骨端線部。大結節ではない。
  • 分類=ソルター・ハリスⅠ型に相当(骨幹端の骨片を伴わない)。
  • エックス線は健側と比較して骨端線の開大を確認する。
  • 治療は投球中止による安静。続投すると上腕骨頭の内反変形・成長障害を残しうるため、投球数と復帰の管理を行う。
比較表
ソルター・ハリス分類骨折線の走り方
Ⅰ型骨端線に沿った離開のみ(リトルリーガー肩はこれに相当)
Ⅱ型骨端線+骨幹端の三角骨片を伴う(最も頻度が高い型)
Ⅲ型骨端線+骨端部を通り関節面に達する
Ⅳ型骨端から骨幹端まで骨端線を縦断する
Ⅴ型骨端線の圧挫。成長障害を残しやすい
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