学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §9 麻酔 / QJ32P052

理由で解く 柔道整復師

QJ32P052 外科学概論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問52
問題
麻酔で誤っているのはどれか。
選択肢
1 腰椎穿刺後の頭痛は体動で悪化する。
2 悪性高熱症では異常高体温が起こる。
3 気管支けいれんは気管挿管時に起こりやすい。
4 ラリンジアルマスクでは誤嚥性肺炎を予防できる。
解答
正解4(ラリンジアルマスクでは誤嚥性肺炎を予防できる。)
解説

ラリンジアルマスクは声門の上に置く気道確保器具で、気管内を密閉しません。そのため誤嚥や誤嚥性肺炎を防ぐことはできません。

全身麻酔中の気道確保には、フェイスマスク換気、声門上器具であるラリンジアルマスク、そしてカフ付きチューブを気管内に入れる気管挿管があります。ラリンジアルマスクは咽頭でカフを膨らませて喉頭の入口を覆うだけなので、挿入が容易で咽頭痛も少なく短時間手術に向く一方、胃内容が逆流すれば気管へ流れ込みうる構造です。確実に誤嚥を防ぎたい場合はカフ付き気管チューブによる気管挿管が必要で、絶食が守れていない患者や腸閉塞、緊急手術では迅速導入と気管挿管が選択されます。麻酔管理では、こうした器具ごとの「できること・できないこと」を理解して選ぶことが安全につながります。

✗ 1. 正しい記述(答えではない)
腰椎穿刺後の頭痛は体動で悪化する。
※「腰椎刺」は原本の「腰椎穿刺」がテキスト化で崩れたものです。脊椎麻酔や腰椎穿刺のあとに起こる硬膜穿刺後頭痛は、穿刺孔から髄液が漏れて髄液圧が低下することで生じます。坐位・立位や体動で悪化し、臥位で軽快する体位依存性が特徴です。安静・水分補給・鎮痛薬で対応し、難治例では硬膜外自家血パッチが行われます。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
悪性高熱症では異常高体温が起こる。
※冒頭の「?」と末尾の「.」は、テキスト化の際に紛れ込んだ記号です。本来の内容は「悪性高熱症では異常高体温が起こる。」と読みます。悪性高熱症は揮発性吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬を契機に、骨格筋細胞内へカルシウムが過剰に放出されて代謝が暴走する病態です。筋強直、急激な体温上昇、頻脈、呼気終末二酸化炭素分圧の上昇、代謝性アシドーシスをきたします。原因薬の中止、全身冷却、ダントロレン投与が対応の柱です。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
気管支けいれんは気管挿管時に起こりやすい。
気管挿管は気道に対する強い機械的刺激となります。麻酔深度が浅いときや、気管支喘息・喫煙歴・気道感染がある患者では、この刺激で気道平滑筋が収縮し気管支けいれんが誘発されやすくなります。十分な麻酔深度の確保と気管支拡張薬の準備が予防になります。
✓ 4. これが誤り(正答)
ラリンジアルマスクでは誤嚥性肺炎を予防できる。
※「誤嚇性肺炎」は原本の「誤嚥性肺炎」がテキスト化で崩れたものです。ラリンジアルマスクは喉頭の入口を上から覆うだけで、気管内をカフで密閉しません。したがって胃内容の逆流があれば気管へ流入し、誤嚥を防ぐことはできません。誤嚥のリスクが高い患者では、カフ付き気管チューブによる気管挿管を選び、絶食の確認と迅速導入を組み合わせます。
ポイント
  • ラリンジアルマスクは声門上器具。気管内を密閉しないため誤嚥予防はできない。
  • 誤嚥を確実に防ぐにはカフ付き気管チューブによる気管挿管。フルストマックでは迅速導入。
  • 硬膜穿刺後頭痛は髄液漏出による低髄液圧が原因。坐位・立位で悪化、臥位で軽快。
  • 悪性高熱症は吸入麻酔薬・脱分極性筋弛緩薬が誘因。異常高体温・筋強直。治療はダントロレン。
  • 挿管刺激+浅い麻酔+気道過敏性 → 気管支けいれん。
比較表
ラリンジアルマスク気管挿管(カフ付きチューブ)
留置部位喉頭の上(声門上)気管内(声門下)
誤嚥の予防できないできる
挿入の容易さ容易、喉頭鏡が不要手技と器具が必要
向く場面短時間・低リスクの待機手術フルストマック、腹腔内手術、長時間手術、緊急
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