学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §3 外科的感染症 / QJ32P048

理由で解く 柔道整復師

QJ32P048 外科学概論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問48
問題
感染と原因菌の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 中心静脈カテーテル感染-アスペルギルス
2 術後尿路感染-大腸菌
3 術後呼吸器感染-緑膿菌
4 抗菌薬関連腸炎-MRSA
解答
正解1(中心静脈カテーテル感染-アスペルギルス)
解説

中心静脈カテーテル感染の代表的な起炎菌は皮膚常在菌であるブドウ球菌(とくに表皮ブドウ球菌)で、真菌ならカンジダです。アスペルギルスとの組合せは適切ではありません。

医療関連感染は「どこに、どんな異物や環境があるか」で起炎菌がおおよそ決まります。中心静脈カテーテルは皮膚を貫いて留置されるため、刺入部の皮膚常在菌(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌である表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌)がカテーテル表面のバイオフィルムを足場に血流へ侵入します。輸液ラインの汚染や高カロリー輸液が関与するとカンジダによる血流感染も起こります。これに対しアスペルギルスは空気中に浮遊する胞子を吸い込むことで肺や副鼻腔に病巣をつくる糸状菌で、好中球減少などの免疫不全患者にみられる侵襲性肺アスペルギルス症が代表であり、血管内留置カテーテル感染の代表菌ではありません。予防では挿入時のマキシマルバリアプリコーション、刺入部の清潔管理、不要になったカテーテルの早期抜去が要点です。

✓ 1. これが誤り(正答)
中心静脈カテーテル感染-アスペルギルス
カテーテル関連血流感染で問題になるのは表皮ブドウ球菌・黄色ブドウ球菌などの皮膚常在菌が中心で、真菌ではカンジダです。アスペルギルスは吸入によって肺や副鼻腔に感染する糸状菌であり、侵入経路が異なるためこの組合せは適切ではありません。
✗ 2. 適切な組合せ(答えではない)
術後尿路感染-大腸菌
術後の尿路感染の多くは膀胱留置カテーテルが誘因です。会陰部の腸内細菌が尿道を上行して膀胱に達するため、大腸菌が最多の起炎菌になります。カテーテルの早期抜去と閉鎖式回路の維持が予防の基本です。
✗ 3. 適切な組合せ(答えではない)
術後呼吸器感染-緑膿菌
術後は疼痛や麻酔の影響で咳嗽・深呼吸が不十分になり、無気肺や肺炎を起こしやすくなります。人工呼吸器や吸引回路が関与する院内肺炎では緑膿菌が代表的で、湿潤環境を好み多剤耐性を獲得しやすい点が特徴です。
✗ 4. 適切な組合せ(答えではない)
抗菌薬関連腸炎-MRSA
抗菌薬の投与で腸内細菌叢が乱れると、その薬剤に耐性をもつ菌が一気に増殖します(菌交代現象)。MRSAによる腸炎や、Clostridioides difficileによる偽膜性腸炎が代表で、術後の水様下痢・発熱をみたら想起します。原因薬の中止と適切な薬剤への変更、輸液管理を行います。
ポイント
  • 侵入経路で菌を推定する。血管内デバイス=皮膚常在菌(ブドウ球菌)、尿路=腸内細菌(大腸菌)。
  • アスペルギルスは吸入による肺・副鼻腔の感染。カテーテル感染の真菌はカンジダ。
  • 人工呼吸器関連肺炎など院内呼吸器感染では緑膿菌が代表。
  • 抗菌薬関連腸炎=MRSA腸炎・偽膜性腸炎(C. difficile)。菌交代現象で起こる。
  • デバイス関連感染の最大の予防策は「不要になったら早く抜く」。
比較表
感染主な侵入経路・背景代表的な起炎菌
中心静脈カテーテル感染刺入部の皮膚、輸液ラインの汚染表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ
術後尿路感染膀胱留置カテーテルからの上行大腸菌などの腸内細菌
術後呼吸器感染人工呼吸器・吸引回路、無気肺緑膿菌、肺炎桿菌、黄色ブドウ球菌
抗菌薬関連腸炎菌交代現象(腸内細菌叢の乱れ)MRSA、Clostridioides difficile
(参考)侵襲性肺アスペルギルス症胞子の吸入、好中球減少アスペルギルス
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