学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §3 診察各論 視診 / QJ32P027

理由で解く 柔道整復師

QJ32P027 一般臨床医学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問27
問題
視診で図のような静脈拡張を示すのはどれか。
図
選択肢
1 妊娠
2 肝硬変
3 慢性膵炎
4 Cushing (クッシング)症候群
解答
正解2(肝硬変)
解説

体表から見えるほどの静脈拡張は、血液が本来の流路を通れず側副血行路をつくっていることを示す。選択肢のなかでこれを生じるのは肝硬変で、正解は2。

肝硬変では肝内の線維化により門脈血が肝を通過しにくくなり、門脈圧が上昇する。行き場を失った血液は体循環へつながる側副血行路(食道・胃噴門部の静脈叢、臍傍静脈、直腸静脈叢、後腹膜)に流れ込み、食道・胃静脈瘤、腹壁静脈の怒張(臍を中心に放射状に走る、いわゆるメデューサの頭)、痔核を生じる。腹壁の静脈拡張は視診で確認できる代表的な門脈圧亢進の所見である。肝硬変ではほかに黄疸、腹水、クモ状血管腫、手掌紅斑、女性化乳房、羽ばたき振戦(肝性脳症)などを合わせて確認する。なお静脈拡張がどこに出るかで閉塞部位が推定でき、上半身に強ければ上大静脈系、下半身に強ければ下大静脈系の閉塞を考える。

✓ 2. 正しい
肝硬変
門脈圧亢進により臍傍静脈を介した側副血行路が発達し、腹壁の静脈が視診で分かるほど拡張・怒張する。食道静脈瘤や腹水を伴うことが多い。
✗ 1. 誤り
妊娠
増大した子宮による下大静脈や骨盤内静脈の圧迫で下肢の静脈瘤や浮腫は起こりうるが、腹壁に側副血行路が浮き出る所見の代表ではない。腹部の視診では正中線の色素沈着や妊娠線が特徴的である。
✗ 3. 誤り
慢性膵炎
持続する腹痛・背部痛、脂肪便(外分泌機能低下)、糖尿病(内分泌機能低下)が主体で、原因としてアルコールが多い。腹壁静脈の怒張を特徴とする疾患ではない。
✗ 4. 誤り
Cushing (クッシング)症候群
中心性肥満・満月様顔貌・野牛肩に加えて腹部などに赤紫色の皮膚線条がみられるが、これは皮膚の伸展と菲薄化による線条であって、静脈が拡張したものではない。両者を混同しないよう区別しておく。
ポイント
  • 腹壁静脈の怒張(メデューサの頭)=門脈圧亢進のサイン。代表は肝硬変
  • 門脈圧亢進の三徴=食道・胃静脈瘤、腹壁静脈怒張、痔核(+脾腫・腹水)
  • 肝硬変の他の視診所見=黄疸、クモ状血管腫、手掌紅斑、女性化乳房
  • 静脈拡張の分布で閉塞部位を推定する(上半身=上大静脈系、下半身=下大静脈系)
  • クッシング症候群の赤紫色皮膚線条は「静脈拡張」ではない
比較表
静脈拡張の分布推定される障害代表疾患
腹壁、臍を中心に放射状門脈圧亢進(臍傍静脈が側副路に)肝硬変
顔面・頸部・上胸部、顔面浮腫を伴う上大静脈の閉塞・圧迫上大静脈症候群(肺癌、縦隔腫瘍)
下腹部〜側腹部、下肢浮腫を伴う下大静脈の閉塞下大静脈血栓症、腫瘍による圧迫
下肢の表在静脈が蛇行・隆起静脈弁の機能不全下肢静脈瘤(妊娠・長時間立位が誘因)
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