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理由で解く 柔道整復師

QJ32P020 リハビリテーション医学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問20
問題
頭部単純CT 画像(別冊 No. 1)を別に示す。考えられるのはどれか。
図
選択肢
1 脳出血
2 脳梗塞
3 くも膜下出血
4 慢性硬膜下血腫
解答
正解1(脳出血)
解説

頭部単純CTで、脳実質の内部に高吸収(白く写る)病変がまとまって存在すれば、まず急性期の脳出血を考える。CTは出血の描出に優れ、発症直後から陽性所見となる。

単純CTの読影は「白か黒か」→「どこにあるか」→「どんな形か」の順に見ると迷わない。血液はX線の吸収が高いため、出血すると発症直後から白く(高吸収に)写る。反対に梗塞は虚血で組織の水分が増えるため黒く(低吸収に)写り、しかも変化が出るまでに数時間から1日ほどかかる。つまり「発症直後の白=出血、時間が経ってからの黒=梗塞」が第一の分かれ道である。白い出血を見つけたら、次はその場所と形で病型を決める。脳実質の内部に塊をつくれば脳出血、脳槽や脳溝(くも膜下腔)の形をなぞって広がればくも膜下出血、頭蓋骨の内板に沿って三日月形に広がれば硬膜下血腫となる。

✓ 1. 正しい
脳出血
別冊No.1の画像では、高吸収域が脳実質の内部にあるかどうかをまず確認する。脳出血は血腫が発症直後から明瞭な高吸収域として描出され、周囲に浮腫による低吸収域を伴ったり、血腫が大きければ脳室の圧排や正中構造の偏位を生じたりする。好発部位は被殻が最も多く、次いで視床で、突然の頭痛・意識障害・片麻痺といった経過とよく対応する。
✗ 2. 誤り
脳梗塞
梗塞巣は含水量の増加を反映して低吸収(黒)に写る。しかも超急性期は変化に乏しく、レンズ核の不明瞭化、皮髄境界の消失、島皮質の不明瞭化といったわずかな early CT sign にとどまることが多い。したがって、画像の主体が高吸収域であるなら、低吸収を本態とする梗塞では説明できない。発症直後の梗塞を確実にとらえたいときはMRIの拡散強調像(DWI)を用いる。
✗ 3. 誤り
くも膜下出血
出血がくも膜下腔に広がるため、シルビウス裂・脚間槽・迂回槽など脳槽や脳溝の形をなぞる高吸収として描出される(いわゆる五角形・ヒトデ型)。逆に、高吸収域が脳槽・脳溝の形をなぞらず脳実質の内部に境界のある塊としてとどまっているなら、くも膜下出血は否定的である。同じ「白」でも場所と形で区別できる、というのがこの選択肢の見分け方である。突然の激しい頭痛が典型で、脳動脈瘤破裂が主因である。
✗ 4. 誤り
慢性硬膜下血腫
軽微な頭部外傷から数週間〜数か月後に、頭蓋骨内板に沿って三日月形(凹レンズ型)に血腫が広がるのが慢性硬膜下血腫である。慢性硬膜下血腫は受傷後の時間経過とともに等吸収〜低吸収を示し、被膜からの再出血があると内部に高吸収が混じる(mixed density)ことがある。等吸収期には血腫自体が見えにくいため、正中偏位や脳溝の消失が手がかりになる。なお、発症直後から一様な高吸収を示すのは急性硬膜下血腫であり、本選択肢が指しているのは受傷から時間の経った「慢性」の病態である。高吸収域が脳実質の内部に塊をつくっているのであれば、骨内板に沿って広がるこの血腫とは場所も形も一致しない。
ポイント
  • 単純CTでは、白(高吸収)=出血、黒(低吸収)=梗塞・浮腫。まず濃度を見る。
  • 出血は発症直後からCTに写る。梗塞は時間が経ってから黒く見えてくるので、超急性期はDWIで確認する。
  • 白い病変は「場所と形」で病型が決まる。脳実質内の塊=脳出血、脳槽・脳溝に沿う=くも膜下出血、骨内板に沿う三日月=硬膜下血腫、凸レンズ型=硬膜外血腫。
  • 硬膜下血腫は時期で濃度が違う。急性(受傷直後)=高吸収、慢性(数週〜数か月後)=等吸収〜低吸収で、再出血があると mixed density となる。
  • 脳出血の好発部位は被殻が最多、次いで視床。突然発症の片麻痺・意識障害・共同偏視を伴う。
  • 画像問題は「①濃度 ②部位 ③形」の3ステップで順に絞り込むと、選択肢を消していける。
比較表
疾患単純CTの濃度部位・形典型的な背景
脳出血高吸収(発症直後から白い)脳実質内に塊状、周囲に浮腫、正中偏位を伴うことあり高血圧。被殻・視床が好発。突然の片麻痺・意識障害
脳梗塞低吸収(黒い、数時間〜1日で明瞭化)動脈支配領域に一致した楔状・広範な低吸収心房細動・動脈硬化。超急性期はDWIが有用
くも膜下出血高吸収脳槽・脳溝(くも膜下腔)に沿って広がる脳動脈瘤破裂。突然の激しい頭痛、項部硬直
急性硬膜下血腫(参考)高吸収(受傷直後から白い)頭蓋骨内板に沿う三日月形強い頭部外傷直後。脳挫傷を合併しやすい
慢性硬膜下血腫等吸収〜低吸収(再出血で内部に高吸収が混じり mixed density)頭蓋骨内板に沿う三日月形(凹レンズ型)高齢者・飲酒者。軽微な外傷から数週〜数か月後
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