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理由で解く 柔道整復師

QJ32P010 衛生学・公衆衛生学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問10
問題
騒音性難聴で最初に聞こえにくくなる音域はどれか。
選択肢
1 1,000Hz 付近
2 2,000Hz 付近
3 4,000 Hz 付近
4 8,000 Hz 付近
解答
正解3(4,000 Hz 付近)
解説

騒音性難聴では、まず4,000Hz付近だけが落ち込む。オージオグラム上のこのくぼみをc5 dip(4,000Hzの谷)と呼ぶ。

騒音性難聴は、強い騒音に長期間さらされることで蝸牛の有毛細胞、とくに高音を担当する基底回転の外有毛細胞が障害されて起こる、両側性・不可逆性の感音難聴である。4,000Hz付近から始まる理由としては、外耳道の共鳴によって2,000〜4,000Hz帯の音圧が耳内で増強されること、蝸牛基底回転が血流の面で脆弱であることなどが挙げられる。会話音域は500〜2,000Hzなので、初期には日常会話に不自由がなく、本人が自覚しないまま進行しやすいのが厄介な点である。障害が会話音域まで広がってから気づいたときには、失われた有毛細胞は再生しないため聴力は戻らない。したがって対策は、耳栓・イヤーマフなどの保護具の着用、騒音源の低減と作業時間の管理という一次予防と、1,000Hzと4,000Hzの2つの周波数で行う選別聴力検査を含む定期健康診断で早期に見つける二次予防が柱になる。

✗ 1. 誤り
1,000Hz 付近
1,000Hzは会話音域(500〜2,000Hz)の中心に位置し、騒音性難聴の初期には比較的よく保たれる。選別聴力検査で4,000Hzと並んで1,000Hzを測るのは、会話が聞き取れる水準が保たれているかを確認するためである。
✗ 2. 誤り
2,000Hz 付近
2,000Hzは会話音域の上端にあたる。初期には保たれ、4,000Hzの谷が深く広がって進行した段階で低下してくる。この帯域が落ちてくると本人も会話の聞き取りにくさを自覚するようになる。
✓ 3. 正しい
4,000 Hz 付近
騒音性難聴で最初に低下するのは4,000Hz付近である。外耳道の共鳴でこの帯域の音圧が増強されること、蝸牛基底回転の有毛細胞が障害されやすいことによる。オージオグラムでこの谷をc5 dipという。
✗ 4. 誤り
8,000 Hz 付近
8,000Hzは、加齢性難聴(老人性難聴)で最も早く低下する高音域である。騒音性難聴の初期は4,000Hzを底とする限局した谷が特徴で、それより高い8,000Hzは谷ほどには落ちず、聴力図で谷の右肩が持ち上がって見えることが両者の鑑別点になる。
ポイント
  • 騒音性難聴は両側性・不可逆性の感音難聴で、蝸牛基底回転の外有毛細胞の障害による。
  • 最初に低下するのは4,000Hz付近。オージオグラム上の谷をc5 dipと呼ぶ。
  • 会話音域(500〜2,000Hz)は初期に保たれるため自覚が遅れやすい。
  • 加齢性難聴は8,000Hzなど最高音域から高音側全体が落ちる点で区別する。
  • 対策は保護具の着用・騒音源対策・作業時間管理(一次予防)と、1,000Hz・4,000Hzの選別聴力検査による早期発見(二次予防)。
比較表
騒音性難聴加齢性難聴
難聴の型感音難聴(両側性)感音難聴(両側性)
初期に低下する音域4,000Hz付近(c5 dip)8,000Hzなど最高音域から
オージオグラムの形4,000Hzを底とする限局した谷高音域へ向かってなだらかに低下
主な原因長期の騒音曝露加齢による有毛細胞・神経の変性
予防保護具・騒音源対策・定期の選別聴力検査騒音曝露の回避、生活習慣病の管理
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