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理由で解く 柔道整復師

QJ32P009 衛生学・公衆衛生学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問9
問題
手術器具の消毒法はどれか。
選択肢
1 高圧蒸気滅菌法
2 火炎滅菌法
3 紫外線消毒
4 低温消毒
解答
正解1(高圧蒸気滅菌法)
解説

設問は「消毒法」と表記されているが、手術器具に必要な水準は滅菌である。4肢のうち手術器具に使えるのは高圧蒸気滅菌法(オートクレーブ)だけである。

設問文の「消毒法」は、ここでは微生物を処理する方法の総称として使われており、選択肢にも滅菌法(高圧蒸気滅菌法・火炎滅菌法)と消毒法(紫外線消毒・低温消毒)が混在している。まず「消毒=病原微生物を害のない程度まで減らすこと(芽胞は残りうる)」「滅菌=芽胞を含むすべての微生物を除去・死滅させること」という水準の違いを押さえる。手術器具は無菌の組織に直接触れるクリティカル器具にあたるため、必要とされる水準は滅菌であり、消毒どまりの方法では不十分である。高圧蒸気滅菌はオートクレーブで飽和水蒸気を用い、121℃・約2気圧で15〜20分(または135℃で数分)処理する方法で、確実性・安全性・経済性に優れ、蒸気が器具の細部まで行き渡るため金属製手術器具の標準法となっている。処理後に残留毒性がなく、環境負荷も小さいことも利点である。一方、熱や湿気に弱いプラスチック製品や軟性内視鏡には、酸化エチレンガス滅菌、過酸化水素低温プラズマ滅菌、グルタラールなどの化学的消毒・滅菌を使い分ける。器具の材質と要求水準の2つで方法を選ぶ、という考え方で整理するとよい。

✓ 1. 正しい
高圧蒸気滅菌法
オートクレーブによる高圧蒸気滅菌は、121℃・約2気圧・15〜20分の飽和水蒸気で芽胞を含むすべての微生物を死滅させる。耐熱・耐湿性のある金属製手術器具に対する標準的な方法であり、残留毒性がなく確実性が高い。設問が「消毒法」という語を用いていても、手術器具に適用できるのはこの肢だけである。
✗ 2. 誤り
火炎滅菌法
火炎滅菌は白金耳や試験管の口、ピンセットの先端などを直接炎で焼く方法で、微生物学の実験操作には確実だが、刃物や精密器具では焼き戻りによる刃こぼれ・変形・変色を起こす。滅菌の水準には達するものの、手術器具一式の処理には適さない。
✗ 3. 誤り
紫外線消毒
紫外線(254nm付近)は照射が当たった表面にしか作用せず、影になる部分や器具の内腔・関節部には届かない。手術室の空気、作業台やクリーンベンチの表面消毒に用いる方法であり、器具の滅菌には使えない。人体には角膜炎・皮膚炎を起こすため、照射中は入室を避ける配慮が必要である。
✗ 4. 誤り
低温消毒
低温消毒(低温殺菌法・パスツリゼーション)は63〜65℃で30分などの条件で加熱する方法で、牛乳や酒類の風味を保ちながら病原菌を減らす食品向けの手法である。芽胞は生き残るため、器具の処理には水準が足りない。
ポイント
  • 設問文が「消毒法」でも、手術器具に求められる水準は滅菌。語に引きずられて滅菌法の肢を外さないこと。
  • 消毒=病原微生物を害のない程度に減らす(芽胞は残りうる)/滅菌=芽胞を含むすべての微生物を死滅・除去する。
  • 手術器具はクリティカル器具で、必要水準は滅菌。高圧蒸気滅菌(121℃・約2気圧・15〜20分)が標準。
  • 火炎滅菌は白金耳などの実験器具用。刃物・精密器具には不向き。
  • 紫外線は照射面のみに作用し、影や内腔には無効。空気・表面の消毒に用いる。
  • 熱に弱い器具には酸化エチレンガス滅菌、過酸化水素低温プラズマ滅菌、グルタラールなどを選ぶ。
比較表
方法条件水準主な適用
高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)121℃・約2気圧・15〜20分滅菌(芽胞も死滅)金属製手術器具、ガーゼ、リネン
火炎滅菌直火で焼く滅菌白金耳、試験管の口、ピンセット先端
乾熱滅菌160〜180℃・1〜2時間滅菌ガラス器具、金属、粉末・油脂
紫外線消毒254nm付近を照射消毒(表面のみ)空気、作業台・器具の表面
低温消毒(低温殺菌)63〜65℃・30分など消毒(芽胞は残る)牛乳、酒類などの食品
酸化エチレンガス滅菌低温・ガス曝露後にエアレーション滅菌プラスチック製品、内視鏡など熱に弱い器具
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