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理由で解く 柔道整復師

QJ32P004 衛生学・公衆衛生学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問4
問題
がんと危険因子の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 大腸癌-肝炎ウイルス
2 前立腺癌-受動喫煙
3 胃癌-ヘリコバクターピロリ菌
4 乳癌-ヒトパピローマウイルス
解答
正解3(胃癌-ヘリコバクターピロリ菌)
解説

胃癌の主要な危険因子はヘリコバクター・ピロリの持続感染である。感染症と癌の対応は「1対1」で覚えると得点源になる。

ピロリ菌に持続感染すると、慢性胃炎 → 萎縮性胃炎 → 腸上皮化生 → 胃癌という発癌の道筋が進む。国際がん研究機関(IARC)はピロリ菌をヒトに対する発癌性が確実なグループ1に分類しており、除菌治療によって胃癌の発生が減ることも示されている。日本の胃癌の多くはこの感染を背景としており、減塩・禁煙とあわせて除菌が予防の柱になっている。感染性因子と癌の組合せは、肝炎ウイルス(HBV・HCV)→肝細胞癌、ヒトパピローマウイルス(HPV)→子宮頸癌、EBウイルス→上咽頭癌・バーキットリンパ腫、HTLV-1→成人T細胞白血病、というセットで整理しておけば、この形式の設問は一気に処理できる。

✗ 1. 誤り
大腸癌-肝炎ウイルス
肝炎ウイルス(HBV・HCV)が起こすのは肝細胞癌で、慢性肝炎から肝硬変を経て発癌する。大腸癌の主な危険因子は赤肉・加工肉の多量摂取、飲酒、喫煙、肥満、運動不足、家族歴などの生活習慣・体質因子であり、ウイルスは関与しない。
✗ 2. 誤り
前立腺癌-受動喫煙
受動喫煙との因果関係が確立しているのは肺癌であり、ほかに虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群(SIDS)、小児の喘息などがある。前立腺癌の危険因子は加齢、家族歴、アンドロゲン(男性ホルモン)曝露などで、受動喫煙は主要因子とされていない。
✓ 3. 正しい
胃癌-ヘリコバクターピロリ菌
ピロリ菌の持続感染が慢性萎縮性胃炎を通じて胃癌の発生母地をつくる。IARCのグループ1(発癌性が確実)に分類され、除菌により胃癌発生が抑えられることも報告されている、確立した組合せである。
✗ 4. 誤り
乳癌-ヒトパピローマウイルス
ヒトパピローマウイルス(HPV)が関与するのは子宮頸癌で、そのためにHPVワクチンと子宮頸がん検診が予防策になっている。乳癌の危険因子はエストロゲンにさらされる期間の長さ(早い初経・遅い閉経・未出産・高齢初産)、閉経後の肥満、飲酒、家族歴などである。
ポイント
  • ヘリコバクター・ピロリ → 胃癌(IARCグループ1、除菌で発症リスクが下がる)。
  • 肝炎ウイルス(HBV・HCV) → 肝細胞癌。慢性肝炎・肝硬変を経て発癌する。
  • ヒトパピローマウイルス(HPV) → 子宮頸癌。ワクチンと検診が予防の柱。
  • EBウイルス → 上咽頭癌・バーキットリンパ腫、HTLV-1 → 成人T細胞白血病。
  • 受動喫煙で確立しているのは肺癌・虚血性心疾患・脳卒中・SIDSなど。前立腺癌は加齢と家族歴が中心。
比較表
感染性因子主に関連する癌
ヘリコバクター・ピロリ胃癌(胃MALTリンパ腫)
B型・C型肝炎ウイルス肝細胞癌
ヒトパピローマウイルス(HPV)子宮頸癌、中咽頭癌
EBウイルス上咽頭癌、バーキットリンパ腫
HTLV-1成人T細胞白血病
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