学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §9 腫瘍 / QJ32A126

理由で解く 柔道整復師

QJ32A126 病理学概論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問126
問題
良性腫瘍でみられないのはどれか。
選択肢
1 内分泌の異常
2 巨大腫瘤の形成
3 周囲組織の圧迫
4 浸潤性の増殖
解答
正解4(浸潤性の増殖)
解説

良性腫瘍は周囲を押しのけながら大きくなる膨張性増殖を示す。周囲組織へしみ込むように広がる浸潤性増殖は悪性腫瘍の性質であり、良性ではみられない。

良性腫瘍は発生母地の組織によく似た高い分化度をもち、増殖速度が緩やかで、しばしば線維性の被膜に包まれて境界が明瞭である。増え方は周囲を押しのける膨張性・圧排性で、基底膜を越えて周囲へ入り込むことも、血行性・リンパ行性に転移することもない。ただし「良性だから無害」とは限らない点が本問の要である。大きくなれば周囲を圧迫して症状を出し、内分泌腺から発生した機能性腫瘍ならホルモンを自律的に産生して全身の代謝に影響する。頭蓋内のように逃げ場のない部位では、良性でも生命に関わる。したがって良性腫瘍でも、発生部位・大きさ・機能によっては摘出などの治療が必要になると理解しておく。

✓ 4. みられない(これが答え)
浸潤性の増殖
浸潤は、腫瘍細胞が基底膜を破って周囲組織の間に入り込みながら広がる増え方で、悪性腫瘍を定義づける性質である。良性腫瘍は境界明瞭に周囲を押しのける膨張性増殖にとどまるため、これはみられない。浸潤能をもつ細胞は脈管にも侵入できるため、浸潤と転移はセットで悪性の指標となる。
✗ 1. みられる(答えではない)
内分泌の異常
内分泌腺から発生した良性腫瘍のうち機能性のものは、フィードバックを無視してホルモンを産生する。下垂体腺腫による先端巨大症やクッシング病、副甲状腺腺腫による高カルシウム血症、甲状腺の機能性腺腫(プランマー病)による甲状腺機能亢進症、膵のインスリノーマによる低血糖発作などがその例で、良性でも全身症状をきたす。
✗ 2. みられる(答えではない)
巨大腫瘤の形成
増殖が緩やかでも時間をかければ大きくなる。子宮筋腫や卵巣の嚢胞性腫瘍、脂肪腫などは良性でも相当な大きさに達することがあり、腹部膨満や体表の変形として気づかれる。大きさそのものは良悪性の決め手にはならない。
✗ 3. みられる(答えではない)
周囲組織の圧迫
膨張性に増殖するため、周囲の臓器や神経・血管を押しのけて症状を出す。頭蓋内の髄膜腫による頭蓋内圧亢進や巣症状、子宮筋腫による過多月経・膀胱圧迫、骨腫瘍による神経圧迫などが典型である。良性でも部位によっては治療が必要となる根拠がここにある。
ポイント
  • 良性は膨張性(圧排性)増殖、悪性は浸潤性増殖。浸潤と転移が悪性を決める二大要件。
  • 良性でも「圧迫」「巨大化」「ホルモン産生」による症状はきたす。良性=無害ではない。
  • 機能性の良性腫瘍:下垂体腺腫、副甲状腺腺腫、甲状腺の機能性腺腫(プランマー病)、膵のインスリノーマ。
  • 良性は被膜をもち境界明瞭で、分化度が高く、増殖速度が緩やか。核分裂像は少ない。
  • 頭蓋内など逃げ場のない部位では、良性でも生命に関わるため摘出の適応となりうる。
比較表
良性腫瘍悪性腫瘍
増殖の仕方膨張性・圧排性浸潤性
境界・被膜明瞭、被膜をもつことが多い不明瞭、被膜を欠く
増殖速度緩やか速い、核分裂像が多い
分化度・異型性高分化で異型性に乏しい低分化になりうる、異型性が強い
転移しないする(リンパ行性・血行性・播種)
全身への影響圧迫やホルモン産生による局所・内分泌症状悪液質、多臓器への転移による全身衰弱
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