学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §1 病理学の意義 / QJ32A116

理由で解く 柔道整復師

QJ32A116 病理学概論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問116
問題
生検の試料となるのはどれか。
選択肢
1 気道吸引によって得られた喀痰
2 腹腔穿刺によって得られた腹水
3 病巣の試験切除によって得られた検体
4 子宮頸部の擦過によって得られた検体
解答
正解3(病巣の試験切除によって得られた検体)
解説

生検(バイオプシー)は、生きている体から「組織のかたまり」を切り取って顕微鏡で調べる検査である。病巣を試験切除して得た検体がこれにあたる。

病理検査は大きく組織診と細胞診に分かれる。組織診(生検・手術材料)では、採った組織をホルマリンで固定し、パラフィンに包埋して薄く切り、HE染色して観察する。細胞の並び方、間質との関係、基底膜を越えた広がりといった「組織の構築」がそのまま残るので、腫瘍の良悪性・組織型・深達度まで判定でき、確定診断になる。一方、喀痰・胸水や腹水・擦過材料などは、ばらばらになった細胞の集まりを塗抹して調べる細胞診である。細胞診は体への負担が小さく繰り返せるためスクリーニングに向くが、細胞ひとつひとつの異型は見えても浸潤の有無までは判断しにくい。実際の診療も「細胞診で疑いを拾う → 生検で確定する」という順に進む。この違いを押さえれば、選択肢が「組織を採っているか、細胞だけを集めているか」で一瞬に切り分けられる。

✓ 3. 正しい
病巣の試験切除によって得られた検体
試験切除とは病巣の一部をメスなどで切り取ることで、いわゆる切開生検そのものである。組織のつながりを保ったまま採るため、癌かどうかだけでなく浸潤の有無まで評価できる。生検にはこのほか、病変ごと取る全切除生検、針生検、内視鏡下の鉗子生検、皮膚のパンチ生検などがある。
✗ 1. 誤り
気道吸引によって得られた喀痰
喀痰は気道の表面からはがれ落ちた細胞が混じったもので、喀痰細胞診の材料である。組織の構築が失われているため生検にはならない。肺癌のスクリーニングとして使われ、疑わしければ気管支鏡下の生検へ進む。
✗ 2. 誤り
腹腔穿刺によって得られた腹水
腹水は体腔液であり、これを遠心して沈渣を調べるのは体腔液細胞診(剥離細胞診)である。癌性腹膜炎の証明などに有用だが、採っているのは浮遊細胞であって組織片ではない。
✗ 4. 誤り
子宮頸部の擦過によって得られた検体
ブラシやヘラで頸部表面をこすり取る擦過細胞診で、子宮頸癌検診の代表的な方法である。ここで異常が出た場合に、コルポスコープ(腟拡大鏡)で拡大観察しながら狙いを定めて組織を採る、コルポスコピー下狙い組織診(狙い生検)へ進むという段取りになる。つまりこれは生検の「前段階」にあたる検査である。
ポイント
  • 生検=組織を採る検査(組織診)。細胞診は細胞だけを集める検査で、生検とは区別する。
  • 生検の採り方:試験切除(切開生検)、全切除生検、針生検、内視鏡下鉗子生検、パンチ生検。
  • 細胞診の材料:喀痰、尿、胸水・腹水、子宮頸部や気管支の擦過、穿刺吸引(甲状腺・乳腺など)。
  • 細胞診は「拾う」検査、生検は「決める」検査。細胞診で疑い → 生検で確定、が基本の流れ。
  • 子宮頸癌検診の流れ:頸部擦過細胞診 → 異常があればコルポスコープ(腟拡大鏡)下の狙い組織診(生検)で確定。
  • 組織構築が残る生検だけが、浸潤の有無・深達度・組織型の判定に使える。
比較表
組織診(生検)細胞診
採るもの組織のかたまり(構築が残る)ばらばらの細胞
代表的な材料試験切除検体、針生検、内視鏡下鉗子生検、コルポスコピー下狙い組織診喀痰、尿、胸水・腹水、頸部擦過、穿刺吸引
わかること良悪性・組織型・浸潤の有無・深達度細胞の異型の有無(悪性の疑い)
体への負担比較的大きい小さく、繰り返しやすい
位置づけ確定診断スクリーニング・経過観察
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