学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §3 循環 / QJ32A098

理由で解く 柔道整復師

QJ32A098 生理学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問98
問題
血圧を下げるのはどれか。
選択肢
1 一酸化窒素
2 アルドステロン
3 ノルアドレナリン
4 アンジオテンシンII
解答
正解1(一酸化窒素)
解説

血圧を下げるのは一酸化窒素(NO)である。血管内皮細胞から放出され、血管平滑筋を弛緩させて末梢血管抵抗を下げる。

血圧=心拍出量×末梢血管抵抗なので、どちらかを下げれば血圧は下がる。NOは血管内皮のNO合成酵素(eNOS)によりL-アルギニンから作られ、血流のずり応力やアセチルコリンなどの刺激で放出される。拡散して平滑筋細胞に入るとグアニル酸シクラーゼを活性化し、cGMPを増やして平滑筋を弛緩させる(血管内皮由来弛緩因子=EDRFの本体)。狭心症に用いるニトログリセリンがNOを供給して血管を広げるのも同じ機序である。これに対し選択肢の残る3つはいずれも昇圧側で、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)と交感神経系という2大昇圧機構を代表している。RAA系は「血管を締める(アンジオテンシンII)」と「体液量を増やす(アルドステロン)」の二段構えで血圧を上げる、と整理しておくと選択肢の仕分けが速くなる。

✓ 1. 正しい
一酸化窒素
血管内皮細胞で産生される血管拡張因子で、平滑筋のcGMPを増やして弛緩させる。末梢血管抵抗が下がるため血圧は低下する。血小板凝集を抑える作用ももつ。
✗ 2. 該当しない
アルドステロン
副腎皮質球状層から分泌される鉱質コルチコイドで、腎集合管でのNa⁺と水の再吸収を促進する。循環血液量が増えるため血圧は上昇する。
✗ 3. 該当しない
ノルアドレナリン
交感神経節後線維の伝達物質および副腎髄質ホルモンで、血管平滑筋のα₁受容体を介して強く血管収縮を起こす。末梢血管抵抗が増えるため血圧は上昇する。
✗ 4. 該当しない
アンジオテンシンII
アンジオテンシン変換酵素(ACE)によって生成される体内で最も強力な血管収縮物質の一つで、さらに副腎皮質からのアルドステロン分泌も促す。二重の機序で血圧を上昇させる。
ポイント
  • 血圧=心拍出量 × 末梢血管抵抗。どちらを動かすかで昇圧・降圧を判断する。
  • NO(内皮由来弛緩因子)は平滑筋のcGMPを増やして血管を拡張し、血圧を下げる。
  • RAA系:レニン → アンジオテンシンI → (ACE)→ アンジオテンシンII → アルドステロン、と昇圧へ。
  • 交感神経(ノルアドレナリン、α₁受容体)は血管収縮で昇圧、β₁受容体で心拍出量も増やす。
  • ほかの降圧側因子:心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、プロスタサイクリン、ブラジキニン。
比較表
作用物質主な機序
血圧を下げる一酸化窒素(NO)cGMP↑で血管平滑筋を弛緩
血圧を下げるANP(心房性Na利尿ペプチド)Na⁺・水の排泄促進、血管拡張
血圧を上げるアンジオテンシンII強力な血管収縮+アルドステロン分泌促進
血圧を上げるアルドステロン腎でNa⁺・水再吸収↑ → 循環血液量↑
血圧を上げるノルアドレナリンα₁受容体を介する血管収縮
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。