学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §11 コーレス(Colles)骨折の診察および整復 / QJ32A012

理由で解く 柔道整復師

QJ32A012 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問12
問題
コーレス(Colles)骨折屈曲整復法で、弛緩を目的とするのはどれか。
選択肢
1 方形回内筋
2 長母指伸筋
3 腕橈骨筋
4 円回内筋
解答
正解3(腕橈骨筋)
解説

コーレス骨折の短縮転位を引き戻してしまう主役は腕橈骨筋です。屈曲整復法では、肘関節を屈曲させてこの筋を弛緩させてから整復操作に入ります。

コーレス骨折では、遠位骨片が背側・橈側へ転位し、同時に短縮します。この短縮を保ち続けてしまうのが腕橈骨筋で、上腕骨外側顆上稜から起こって橈骨茎状突起、つまり遠位骨片そのものに停止します。緊張したままだと遠位骨片が近位へ引き寄せられ、末梢を牽引しても長さが戻りません。そこで屈曲整復法では、まず肘関節を屈曲させます。腕橈骨筋は上腕骨の遠位外側から起こるため、肘を曲げると起始と停止が近づき、筋の緊張が解けます。これに続いて前腕を回内位にとりますが、こちらは腕橈骨筋を弛緩させるための操作ではありません。腕橈骨筋は回内位からは回外方向に働く筋なので、前腕回内ではむしろ伸張されます。前腕回内位は遠位骨片の回外転位を矯正するための操作であり、肘屈曲(=弛緩)とは目的が別だと分けて理解しておきましょう。緊張を解いたうえで、遠位骨片をいったん背屈方向へ誘導して嵌入を解き、掌屈・尺屈させながら整復位に導きます。筋の起始と停止を思い浮かべ、「どの肢位にすればこの筋がたるむか」を考える習慣をつけると、整復肢位の理由が丸暗記でなく理解になります。

✓ 3. 正しい
腕橈骨筋
上腕骨外側顆上稜から橈骨茎状突起(=遠位骨片)に停止するため、緊張したままだと遠位骨片を近位へ引き、短縮転位を保持してしまいます。肘関節を屈曲させて起始と停止を近づけ、この筋を弛緩させることが整復の前提になります。
✗ 1. 誤り
方形回内筋
尺骨遠位と橈骨遠位の掌側を横に結ぶ深層の筋です。骨折部の掌側を走りますが、短縮転位を作り出す主因ではなく、屈曲整復法で弛緩を狙う筋でもありません。
✗ 2. 誤り
長母指伸筋
腱が橈骨背側のリスター結節を回り込んで走るため、コーレス骨折では遅発性の腱断裂という合併症の文脈で登場します。短縮転位を生む筋ではありません。
✗ 4. 誤り
円回内筋
上腕骨内側上顆などから起こり橈骨中央部の外側面に停止します。停止が骨折部より近位にあるため、遠位骨片の短縮転位には関与しません。
ポイント
  • コーレス骨折の遠位骨片は背側・橈側転位+短縮。フォーク状(銃剣状)変形を呈する。
  • 短縮転位を保持する筋=腕橈骨筋(外側顆上稜→橈骨茎状突起)。
  • 屈曲整復法では肘関節を屈曲して起始と停止を近づけ、腕橈骨筋を弛緩させてから操作する。
  • 前腕回内位は遠位骨片の回外転位を矯正するための操作。腕橈骨筋は回内位からは回外方向に働く筋なので、回内で弛緩するわけではない(弛緩の根拠は肘屈曲)。
  • 長母指伸筋はリスター結節を回るため、遅発性腱断裂という合併症で名前が出る。
  • 整復肢位は「その筋の起始と停止を近づける肢位」から逆算して考える。
比較表
起始 → 停止コーレス骨折との関係
腕橈骨筋上腕骨外側顆上稜 → 橈骨茎状突起遠位骨片を近位へ引き短縮転位を保持。肘屈曲位で弛緩させる
方形回内筋尺骨遠位掌側 → 橈骨遠位掌側骨折部の掌側を横切る深層筋
円回内筋上腕骨内側上顆・尺骨鈎状突起 → 橈骨中央外側面停止が骨折部より近位で短縮に関与しない
長母指伸筋尺骨背側 → 母指末節骨腱がリスター結節を回る。遅発性腱断裂の合併
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