学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §2 総論 運動器損傷の診察 / QJ31P079

理由で解く 柔道整復師

QJ31P079 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問79
問題
健康管理として女性アスリートの三主徴に含まれないのはどれか。
選択肢
1 無気力
2 無月経
3 骨粗鬆症
4 エネルギー不足
解答
正解1(無気力)
解説

女性アスリートの三主徴(Female Athlete Triad)は「利用可能エネルギー不足」「無月経(月経異常)」「骨粗鬆症(低骨密度)」の3つです。無気力はこれに含まれないため、正解は1です。

三主徴は1992年に米国スポーツ医学会(ACSM)が提唱し、2007年の改訂で「摂食障害→利用可能エネルギー不足」「無月経→月経異常」「骨粗鬆症→低骨密度」と、軽症から重症まで連続してとらえる形に整理されました。第31回が実施された2023年時点では、この2007年版の枠組みが標準です(国際オリンピック委員会が2014年に提唱した RED-S は、これを男性や他臓器にも広げた関連概念です)。覚え方は一本の鎖です。運動量に見合う食事が摂れない → 体は限られたエネルギーを生命維持に回し、視床下部のGnRHパルス分泌が抑えられる → LH・FSHが低下しエストロゲンが下がる(視床下部性無月経)→ エストロゲンによる骨吸収の抑制が外れて骨密度が落ちる、という流れです。つまり三主徴はすべて「エネルギー不足を起点とする内分泌・骨代謝の連鎖」に位置づけられる項目であり、倦怠感・意欲低下といった非特異的な症状は定義の構成要素になっていません。審美系・持久系競技(体操、フィギュアスケート、長距離走、新体操など)で頻度が高く、施術現場では体重の急減、月経周期の乱れ、疲労骨折の繰り返しを手がかりに拾い上げ、まず「食べる量を増やす/練習量を調整する」ことで利用可能エネルギーを満たし、産婦人科・スポーツ内科へつなぐのが基本方針です。

✓ 1. これが答え(三主徴に含まれない)
無気力
エネルギー不足が続けば倦怠感や意欲の低下がみられることはありますが、それは付随症状であって三主徴の構成要素として定義されていません。三主徴は「エネルギー・月経・骨」の3語で押さえます。
✗ 2. 答えではない(三主徴に含まれる)
無月経
利用可能エネルギー不足により視床下部性の性腺機能低下が生じ、続発性無月経となります。目安は3か月以上月経が停止した状態で、三主徴の中間に位置する所見です。初経についても数字の出どころを分けて覚えます。女性アスリートの三主徴のスクリーニングでは15歳までに初経がなければ拾い上げの対象としますが(ACSMの基準)、日本産科婦人科学会の定義では満15歳以上満18歳未満で初経をみたものが遅発月経、満18歳を過ぎても初経がないものが原発性無月経です。
✗ 3. 答えではない(三主徴に含まれる)
骨粗鬆症
エストロゲン低下とカルシウム・たんぱく質などの摂取不足が重なり、骨形成が骨吸収に追いつかず低骨密度となります。若年でも疲労骨折を繰り返すのが典型で、連鎖の終点にあたります。
✗ 4. 答えではない(三主徴に含まれる)
エネルギー不足
三主徴の起点です。「摂取エネルギー − 運動で消費するエネルギー」が体の維持に必要な量を下回った状態を指し、摂食障害を伴う場合と、意図せず不足している場合の両方を含みます。ここを是正することが対応の第一歩になります。
ポイント
  • 三主徴=「利用可能エネルギー不足」「無月経(月経異常)」「骨粗鬆症(低骨密度)」の3つ。無気力は入らない。
  • 起点はエネルギー不足。エネルギー不足 → 視床下部性の性腺機能低下 → エストロゲン低下 → 骨密度低下、という一方向の連鎖で理解する。
  • 1992年ACSM提唱、2007年改訂で「摂食障害→エネルギー不足」「無月経→月経異常」「骨粗鬆症→低骨密度」と連続的な概念に整理された。
  • 無月経の目安は3か月以上の月経停止(続発性無月経)。初経の年齢は基準の出どころを区別する。三主徴のスクリーニングは15歳までに初経がなければ拾い上げ(ACSM)、日本産科婦人科学会の定義では満15歳以上満18歳未満の初経発来が遅発月経、満18歳を過ぎて初経がないものが原発性無月経。
  • 審美系・持久系競技に多い。若年女性が疲労骨折を繰り返していたら三主徴を疑う入口とする。
  • 対応は摂取エネルギーを増やす/練習量を調整することが第一。あわせて産婦人科・スポーツ内科と連携する。
比較表
構成要素1992年の当初の表現2007年改訂後の表現押さえどころ
エネルギー摂食障害利用可能エネルギー不足(摂食障害の有無を問わない)連鎖の起点。意図しない不足も含む
月経無月経月経異常(希発月経~無月経)視床下部性の性腺機能低下による。3か月以上の停止が目安
骨粗鬆症低骨密度~骨粗鬆症連鎖の終点。疲労骨折を繰り返す
無気力含まれない含まれない付随しうる症状だが定義には入らない
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