学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §13 疾患別各論 四肢循環障害 / QJ31P062

理由で解く 柔道整復師

QJ31P062 整形外科学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問62
問題
四肢循環障害で正しいのはどれか。
選択肢
1 レイノー(Raynaud) 症候群は若い男性が多い。
2 静脈瘤は深部静脈血栓に続発するものが多い。
3 閉塞性動脈硬化症は精神的ストレスが関係する。
4 バージャー(Buerger)病は生命予後が良好である。
解答
正解4(バージャー(Buerger)病は生命予後が良好である。)
解説

バージャー病は四肢の潰瘍・壊疽という点では厳しい経過をたどるが、心臓や脳の血管を侵さないため生命予後は比較的良好とされる。正しいのは4。

四肢の循環障害は「血管が固く狭くなる病気」「血管に炎症が起きて詰まる病気」「血管が発作的に縮む病気」「血液が戻れない病気」の4つに整理すると混乱しない。閉塞性動脈硬化症(ASO)は全身の動脈硬化の一部分症で、高齢・喫煙・糖尿病・脂質異常症・高血圧が危険因子となり、腹部大動脈から腸骨・大腿動脈といった比較的太い動脈が侵される。同じ動脈硬化が冠動脈や脳動脈にも及んでいるため、虚血性心疾患や脳血管障害を高率に合併し、生命予後は不良である。バージャー病(閉塞性血栓血管炎)は若年〜中年の喫煙男性に多く、四肢末梢の中小動脈とその伴行静脈に炎症性の血栓性閉塞を生じる。遊走性静脈炎やレイノー現象を伴い、進行すると足趾・手指の潰瘍・壊疽から切断に至ることがある。しかし冠動脈・脳血管は基本的に侵されないため、四肢の予後と生命の予後が乖離するのがこの病気の特徴で、禁煙が治療の中心となる。レイノー現象は寒冷曝露や精神的緊張が引き金となり、指趾の細動脈が発作的に攣縮して蒼白→チアノーゼ(紫)→発赤という三相の色調変化を示す。若年〜中年の女性に多く、基礎疾患のない一次性(レイノー病)と、全身性強皮症など膠原病に伴う二次性(レイノー症候群)がある。

✓ 4. 正しい
バージャー(Buerger)病は生命予後が良好である。
病変が四肢末梢の中小動脈・静脈に限局し、冠動脈や脳血管を侵さないため、生命予後は比較的良好とされる。ただし四肢の予後は別で、喫煙を続ければ潰瘍・壊疽から切断に至る。禁煙の徹底と、足趾の色調・冷感・創の有無を定期的に確認する管理が要となる。
✗ 1. 誤り
レイノー(Raynaud) 症候群は若い男性が多い。
性別が逆で、若年〜中年の女性に多い。寒冷や精神的緊張で指趾の細動脈が攣縮し、蒼白→チアノーゼ→発赤の色調変化をきたす。膠原病(とくに全身性強皮症)に伴う二次性もあるため、皮膚硬化や潰瘍を伴う例では医科での精査につなぐ。
✗ 2. 誤り
静脈瘤は深部静脈血栓に続発するものが多い。
下肢静脈瘤の大部分は、表在静脈(大伏在静脈など)の弁が壊れて逆流する一次性である。長時間の立ち仕事、妊娠・出産、加齢、家族歴が背景となる。深部静脈血栓症後の二次性(静脈血栓後症候群)もあるが、割合としては少数にとどまる。
✗ 3. 誤り
閉塞性動脈硬化症は精神的ストレスが関係する。
精神的緊張や寒冷が誘因となるのはレイノー現象のほう。閉塞性動脈硬化症の背景にあるのは加齢・喫煙・糖尿病・脂質異常症・高血圧といった動脈硬化の危険因子で、間欠性跛行を主症状とし、足背動脈・後脛骨動脈の拍動減弱をみる。
ポイント
  • バージャー病は病変が四肢末梢に限局し心・脳を侵さないため生命予後は比較的良好。ただし四肢の予後は喫煙継続で不良(禁煙が治療の中心)
  • 閉塞性動脈硬化症は全身の動脈硬化の一部分症。心筋梗塞・脳梗塞を合併し生命予後は不良
  • レイノー現象=寒冷・精神的緊張が誘因。若年〜中年女性に多く、蒼白→チアノーゼ→発赤の三相性
  • 下肢静脈瘤の大部分は表在静脈の弁不全による一次性。深部静脈血栓後の二次性は少数
  • 間欠性跛行や足趾の色調変化をみたら、足背・後脛骨動脈の拍動と左右差を確認し、禁煙指導とともに医科(血管外科・循環器)へつなぐ
比較表
項目閉塞性動脈硬化症(ASO)バージャー病(TAO)
好発50歳以降の高齢者20〜40歳代の男性
最大の背景動脈硬化(喫煙・糖尿病・脂質異常・高血圧)喫煙(炎症性血栓性閉塞)
侵される血管比較的太い動脈(腹部大動脈〜腸骨・大腿)四肢末梢の中小動脈+伴行静脈
随伴所見虚血性心疾患・脳血管障害の合併遊走性静脈炎、レイノー現象
生命予後不良比較的良好
四肢の予後血行再建で改善しうる禁煙できないと潰瘍・壊疽・切断
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