学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §15 主要な疾患 血液疾患 / QJ31P037

理由で解く 柔道整復師

QJ31P037 一般臨床医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問37
問題
多発性骨髄腫の所見で誤っているのはどれか。
選択肢
1 貧血
2 腎機能障害
3 舌乳頭萎縮
4 脊椎圧迫骨折
解答
正解3(舌乳頭萎縮)
解説

多発性骨髄腫の主症状は「CRAB」、すなわち高カルシウム血症・腎障害・貧血・骨病変です。舌乳頭萎縮はここに含まれません。

形質細胞が単クローン性に増殖し、役に立たない免疫グロブリン(M蛋白)を作り続ける疾患です。骨髄内で腫瘍細胞が正常な造血を押しのけるため貧血が生じ(Anemia)、破骨細胞が活性化して骨が溶けることで、頭蓋骨のX線に特徴的な打ち抜き像(punched out lesion)、脊椎の圧迫骨折や病的骨折、そして高カルシウム血症が起こります(Bone lesions、hyperCalcemia)。M蛋白や尿中に出る軽鎖(ベンス・ジョーンズ蛋白)が尿細管を傷害して腎障害を来します(Renal insufficiency)。検査では赤沈の著明な亢進、血清総蛋白の増加とアルブミン/グロブリン比の低下、血清蛋白電気泳動でのM蛋白(Mピーク)、末梢血塗抹での赤血球の連銭形成が手がかりです。高齢者が「安静にしても軽快しない腰背部痛」「夜間痛」「身長の低下」「体重減少」を訴える場合は、施術を続けずに医療機関へ紹介することが適切な対応になります。

✗ 1. 正しい所見(答えではない)
貧血
骨髄が腫瘍化した形質細胞に置き換わり、正常な造血が妨げられて起こります。CRABのAにあたり、倦怠感や息切れの原因になります。
✗ 2. 正しい所見(答えではない)
腎機能障害
軽鎖(ベンス・ジョーンズ蛋白)による尿細管の傷害を中心に、高カルシウム血症、脱水、アミロイドーシスなども加わって腎障害を来します。CRABのRにあたります。
✓ 3. これが答え(多発性骨髄腫の所見ではない)
舌乳頭萎縮
舌乳頭の萎縮(平滑舌・ハンター舌炎)は、鉄欠乏性貧血やビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血(悪性貧血)でみられる所見です。多発性骨髄腫の主症状には含まれません。同じ「貧血をきたす疾患」でも、舌の所見が出るのは栄養素の欠乏によるものだと整理しておきましょう。
✗ 4. 正しい所見(答えではない)
脊椎圧迫骨折
破骨細胞の活性化による溶骨性病変で骨がもろくなり、椎体が潰れて圧迫骨折や強い腰背部痛を来します。CRABのBにあたります。
ポイント
  • 多発性骨髄腫の主症状はCRAB:高Ca血症・腎障害・貧血・骨病変
  • 骨は溶ける(溶骨性)ため、打ち抜き像・病的骨折・脊椎圧迫骨折
  • 検査では赤沈の著明亢進、M蛋白、ベンス・ジョーンズ蛋白、連銭形成
  • 舌乳頭萎縮(平滑舌)は鉄欠乏性貧血や悪性貧血の所見
  • 安静で軽快しない腰背部痛・夜間痛・体重減少は医療機関へ紹介する
比較表
CRAB意味機序
C高カルシウム血症破骨細胞の活性化で骨からCaが遊離
R腎障害軽鎖(ベンス・ジョーンズ蛋白)による尿細管傷害
A貧血腫瘍細胞が骨髄を占拠し造血が抑制される
B骨病変溶骨性病変(打ち抜き像)、病的骨折・脊椎圧迫骨折
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