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理由で解く 柔道整復師

QJ31P028 一般臨床医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問28
問題
麻痺すると下垂手を生じるのはどれか。
選択肢
1 尺骨神経
2 正中神経
3 橈骨神経
4 筋皮神経
解答
正解3(橈骨神経)
解説

手関節・手指の伸筋を支配するのは橈骨神経であり、麻痺すると手関節と指が垂れ下がる下垂手(drop hand)となる。正答は3。

橈骨神経は上腕三頭筋、腕橈骨筋、および手関節・手指の伸筋群を支配する。上腕骨骨幹部の後面を橈骨神経溝に沿って回り込むため、上腕骨骨幹部骨折、腕を枕にした睡眠(いわゆる土曜夜麻痺)、松葉杖による腋窩の圧迫などで障害されやすい。伸筋が働かなくなると屈筋の張力に抗しきれず、手関節背屈とMP関節伸展ができなくなって手が垂れ下がる。感覚障害は手背の橈側から母指・示指背側に及ぶ。上肢の末梢神経麻痺は「変形の名前・支配筋・感覚領域」の3点セットで覚えると確実である。

✓ 3. 正しい
橈骨神経
手関節背屈とMP関節伸展が不能となり下垂手を呈する。上腕骨骨幹部骨折を扱う際は、受傷時と整復・固定の前後で必ず手関節背屈の可否と手背橈側の感覚を確認し、異常があれば速やかに医師へ紹介する。
✗ 1. 誤り
尺骨神経
麻痺で生じるのは鷲手(claw hand)である。骨間筋と第3・4虫様筋が麻痺し、環指・小指のMP関節が過伸展、PIP・DIP関節が屈曲する。肘部管症候群やギヨン管症候群でみられ、小指側の感覚障害とフローマン徴候陽性を伴う。
✗ 2. 誤り
正中神経
麻痺で生じるのは猿手(ape hand)である。母指球筋の萎縮により母指の対立運動ができなくなる。手根管症候群が代表で、母指から環指橈側のしびれと夜間痛を伴う。肘関節部での高位麻痺では、長母指屈筋・深指屈筋橈側半・浅指屈筋が麻痺するため母指・示指・中指を十分に屈曲できず、握らせると示指・中指が伸展位に残る祈祷手(benediction sign)を呈する。
✗ 4. 誤り
筋皮神経
上腕二頭筋・上腕筋・烏口腕筋を支配するため、麻痺では肘関節屈曲力の低下と、外側前腕皮神経領域(前腕外側)の感覚障害が生じる。手関節や手指の運動には関与せず、下垂手はきたさない。
ポイント
  • 下垂手=橈骨神経麻痺。手関節背屈・MP関節伸展が不能になる。
  • 鷲手=尺骨神経麻痺、猿手=正中神経麻痺。3つをセットで覚える。
  • 高位正中神経麻痺=祈祷手(benediction sign)。母指・示指・中指の屈曲が障害され、握らせると示指・中指が伸びたまま残る。
  • 橈骨神経は上腕骨骨幹部の橈骨神経溝を走るため、同部の骨折で合併しやすい。
  • 筋皮神経は肘屈曲(上腕二頭筋)と前腕外側の感覚を担い、手指の運動には関与しない。
  • 骨折の初期評価では、変形や疼痛だけでなく末梢の運動・感覚・循環を必ず確認する。
比較表
神経変形できなくなる主な動作感覚障害部位
橈骨神経下垂手手関節背屈・MP関節伸展手背の橈側、母指・示指背側
尺骨神経鷲手手指の内転・外転(骨間筋)小指と環指尺側
正中神経猿手(高位で祈祷手)母指対立(高位では母指・示指・中指の屈曲)母指~環指橈側の手掌側
筋皮神経特有の手の変形なし肘関節屈曲前腕外側
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