学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ31A121

理由で解く 柔道整復師

QJ31A121 病理学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問121
問題
血栓形成の原因となるのはどれか。
選択肢
1 脱水
2 血小板減少
3 第Ⅷ因子欠乏
4 ビタミンC欠乏
解答
正解1(脱水)
解説

血栓ができる条件はウィルヒョウの三徴、すなわち血流の異常・血管内皮の障害・血液凝固能の亢進です。脱水は血液を濃縮して凝固に傾け、血流も滞らせるため、正答は1です。

この問題は「固まりやすくなる方向」と「固まりにくくなる方向」を仕分けるだけで解けます。脱水では血漿量が減って血液が濃縮し、粘度が上がって血流が緩慢になるうえ、凝固因子や血球が相対的に濃くなるため、三徴のうち2つが同時に満たされます。長時間の座位や臥床、下肢の固定が重なると深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)となり、剥がれた血栓が肺動脈に詰まれば肺血栓塞栓症を起こします。残る3つの選択肢はいずれも止血のしくみが欠けた状態=出血傾向の原因で、血栓とは逆向きです。固定や安静が続く患者には、水分をこまめにとること、足関節の底背屈運動や大腿四頭筋の等尺性収縮を行うことを具体的に伝え、下肢の腫脹・熱感・把握痛が出た場合はすぐ受診するよう説明しておきます。

✓ 1. 正しい
脱水
血漿量の減少で血液が濃縮し、粘度上昇による血流の緩慢化と凝固能の亢進が同時に起こります。ウィルヒョウの三徴のうち2つを満たすため、血栓形成の原因になります。
✗ 2. 誤り
血小板減少
一次止血がうまく働かなくなり、点状出血や紫斑といった出血傾向を招きます。血栓形成とは逆の方向です。
✗ 3. 誤り
第Ⅷ因子欠乏
血友病Aの病態で、二次止血(凝固)が進まず、関節内出血や筋肉内出血をきたします。これも出血傾向側です。
✗ 4. 誤り
ビタミンC欠乏
壊血病を起こします。コラーゲン合成が障害されて血管壁がもろくなり、歯肉出血や皮下出血が出る出血傾向であって、血栓の原因ではありません。
ポイント
  • ウィルヒョウの三徴=①血流の異常(うっ滞・乱流)②血管内皮の障害③血液凝固能の亢進。
  • 脱水は①と③を同時に満たす。長時間の同一姿勢や下肢固定が加わると深部静脈血栓症のリスクが高まる。
  • 血小板減少・凝固因子欠乏・ビタミンC欠乏はいずれも出血傾向で、血栓とは逆向き。
  • 剥がれた静脈血栓は肺動脈に詰まって肺血栓塞栓症を起こす。突然の呼吸困難・胸痛は緊急。
  • 固定・安静中の患者には、飲水と足関節の自動運動を具体的に勧め、下肢の腫脹・熱感・把握痛があれば受診するよう伝える。
比較表
選択肢止血・凝固への影響起こることの代表
脱水凝固能亢進・血流緩慢(血栓側深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症
血小板減少一次止血の障害(出血側)点状出血、紫斑、鼻出血
第Ⅷ因子欠乏二次止血の障害(出血側)血友病Aの関節内・筋肉内出血
ビタミンC欠乏血管壁の脆弱化(出血側)壊血病の歯肉出血・皮下出血
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