学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §5 姿勢 / QJ31A112

理由で解く 柔道整復師

QJ31A112 運動学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問112
問題
立位姿勢の重心線が後方を通るのはどれか。
選択肢
1 足関節
2 膝関節
3 股関節
4 第4 腰椎
解答
正解3(股関節)
解説

静止立位で重心線は股関節の後方を通り、膝関節と足関節に対しては前方を通る。よって3が該当する。

側方から見た理想的立位では、重心線は乳様突起 → 肩峰 → 大転子 → 膝蓋骨後面(膝関節軸の前方)→ 外果の前方(およそ2cm前方)を通る。股関節については、大腿骨頭(股関節の運動中心)が大転子より前方に位置するため、大転子を通る重心線は結果として股関節に対しては後方を通ることになる。ここで大切なのは位置の丸暗記ではなく、重心線が関節の前を通るか後ろを通るかで、その関節に生じる重力モーメントの向きと、それを受け止める組織が決まるという点である。股関節では重心線が後方を通るので伸展方向のモーメントがかかり、前面の腸骨大腿靱帯(Y靱帯)などが張って支える。膝関節では前方を通るので伸展方向のモーメントがかかり、後方の関節包・靱帯が支える。足関節では前方を通るので背屈方向のモーメントがかかり、ヒラメ筋を中心とした下腿三頭筋が持続的に働いて倒れ込みを止める。靱帯という受動的な組織が大部分を担うため、立位は少ない筋活動で保つことができる。なお身体重心そのものは第2仙椎のやや前方(成人で身長の約55〜56%の高さ)にあり、重心線は腰椎椎体の前方を通る。

✓ 3. 該当する
股関節
重心線は大転子を通る。大腿骨頭(股関節の運動中心)は大転子より前方にあるため、重心線は股関節に対しては後方を通ることになる。そのため股関節には伸展モーメントがかかり、前面の腸骨大腿靱帯(Y靱帯)の緊張で支えられる。
✗ 1. 該当しない
足関節
重心線は外果の約2cm前方を通る(後方ではない)。背屈モーメントに対して下腿三頭筋(とくにヒラメ筋)が持続的に働き、前方への倒れ込みを制動している。
✗ 2. 該当しない
膝関節
重心線は膝蓋骨後面、すなわち膝関節運動軸の前方を通る(後方ではない)。伸展モーメントがかかり、後方の関節包・靱帯が過伸展を防いでいる。
✗ 4. 該当しない
第4 腰椎
重心線は腰椎椎体の前方を通る(後方ではない)。身体重心は第2仙椎のやや前方に位置し、成人では身長のおよそ55〜56%の高さにある。
ポイント
  • 重心線の通り道:乳様突起 → 肩峰 → 大転子 → 膝蓋骨後面 → 外果の前方
  • 大転子(=股関節中心の後方)。大腿骨頭は大転子より前方にあるため、重心線は股関節に対して後方を通る
  • 股関節だけが「後方」。膝関節・足関節・腰椎に対しては前方を通る
  • 股関節は伸展モーメント → 腸骨大腿靱帯(Y靱帯)が支える
  • 膝関節は伸展モーメント → 後方の関節包・靱帯が支える
  • 足関節は背屈モーメント → 下腿三頭筋(ヒラメ筋)が持続的に働く
  • 身体重心は第2仙椎のやや前方、成人で身長の約55〜56%の高さ(小児はより高位)
比較表
部位重心線の位置生じるモーメント支える主体
股関節後方(重心線は大転子を通る)伸展腸骨大腿靱帯(Y靱帯)
膝関節前方(膝蓋骨後面)伸展後方関節包・靱帯
足関節前方(外果の約2cm前方)背屈下腿三頭筋(ヒラメ筋)
第4腰椎前方屈曲脊柱起立筋・後方靱帯
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