学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §2 運動器の構造と機能 / QJ31A107

理由で解く 柔道整復師

QJ31A107 運動学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問107
問題
関節運動を起こさない筋収縮はどれか。
選択肢
1 遠心性
2 求心性
3 等尺性
4 等運動性
解答
正解3(等尺性)
解説

筋が張力を発揮しても筋長が変わらず、関節角度も動かないのが等尺性収縮である。よって3が該当する。

筋収縮の分類は2段構えで考えるとよい。まず「収縮中に筋長が変化するか」で分けると、変化しないものが等尺性(isometric、iso=同じ+metric=長さ)で、関節運動を伴わないのはこれだけである。次に、筋長が変化する収縮には、何を一定に保つかという別の条件で名前がつく。負荷(張力)が一定に保たれるものが等張性(isotonic)、関節の角速度が一定に保たれるものが等運動性(等速性、isokinetic)であり、両者は定義の基準そのものが異なる並列の様式で、等運動性は等張性の下位分類ではない。いっぽう求心性(筋が短縮しながら力を出す)と遠心性(外力に抗して引き伸ばされながら力を出す)は、筋長変化の向きによる区分であり、等張性にも等運動性にも生じうる。結局、筋長が変化する等張性・等運動性はいずれも関節が動き、関節運動を伴わないのは等尺性だけということになる。臨床的にも、ギプス固定中や急性期で関節を動かせない時期の筋力維持に等尺性収縮(大腿四頭筋セッティングなど)が使われる、という結びつけ方で覚えると実務にもつながる。

✓ 3. 該当する
等尺性
筋長が一定のまま張力だけが高まる。関節角度が変わらないので外見上は動きがない。荷物を持ったまま静止する、壁を押す、といった場面がこれにあたる。
✗ 1. 該当しない
遠心性
張力を出しながら外力に引き伸ばされる収縮で、筋長は伸び関節は動く。階段を下りるときの大腿四頭筋が代表例。大きな張力を出せる反面、筋損傷(遅発性筋痛など)を生じやすい。
✗ 2. 該当しない
求心性
筋が短縮しながら張力を出す収縮で、関節が動く。ダンベルを持ち上げるときの上腕二頭筋がこれにあたる。
✗ 4. 該当しない
等運動性
角速度を一定に保った状態で行う収縮(等速性収縮)で、関節は動く。「張力が一定」の等張性とは別の基準で定義された様式である点に注意。全可動域にわたり最大張力を引き出せるため、等速性運動機器による筋力評価・訓練に用いられる。
ポイント
  • 等尺性=筋長が変わらない=関節運動を伴わない。iso(同じ)+metric(長さ)で語源から確定できる
  • 筋長が変化する収縮は、張力(負荷)が一定なら等張性、角速度が一定なら等運動性。定義の基準が違う並列の様式で、等運動性は等張性の一種ではない
  • 求心性(短縮)・遠心性(伸張)は筋長変化の向きによる区分。等張性にも等運動性にも生じうる
  • 遠心性は最も大きな張力を発揮でき、階段を下りる、着地するなどブレーキ役を担う
  • 等運動性は角速度一定。専用機器が必要で、関節は動く
  • 関節を動かせない時期の筋力維持には等尺性収縮を選ぶ(大腿四頭筋セッティングなど)
比較表
収縮様式一定に保たれるもの筋長関節運動代表例
等尺性筋長不変なし荷物を持って静止、壁を押す
等張性(求心性)張力(負荷)短縮ありダンベルを持ち上げる
等張性(遠心性)張力(負荷)伸張あり階段を下りる、着地の衝撃を受ける
等運動性角速度短縮または伸張あり等速性運動機器での訓練
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