学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §6 栄養と代謝 / QJ31A103

理由で解く 柔道整復師

QJ31A103 生理学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問103
問題
ミトコンドリアを必要としない反応はどれか。
選択肢
1 解糖
2 β酸化
3 クエン酸回路
4 酸化的リン酸化
解答
正解1(解糖)
解説

「ミトコンドリアを必要としない反応」を選ぶ問題です。解糖は細胞質基質(サイトゾル)で進み、ミトコンドリアも酸素も要らないため、正解は1です。

解糖はグルコースを10段階の反応でピルビン酸まで分解する経路で、すべて細胞質基質で行われます。この間に基質レベルのリン酸化で正味2分子のATPと2分子のNADHができます。ここから先が細胞内小器官の出番で、ピルビン酸はミトコンドリアに運ばれてアセチルCoAになり、クエン酸回路へ入ります。脂肪酸も、長鎖のものはカルニチンシャトルでミトコンドリア内膜を越えてからマトリックスでβ酸化を受け、アセチルCoAへ分解されます。クエン酸回路やβ酸化で生じたNADH・FADH2の電子は内膜の電子伝達系に渡され、その過程で作られたH⁺の濃度勾配をATP合成酵素が利用してATPを作ります(酸化的リン酸化)。この「細胞質=解糖/ミトコンドリア=それ以降」という区切りが分かっていれば、ミトコンドリアを持たない成熟赤血球が解糖だけでATPをまかなっていることも、酸素が足りない筋で乳酸ができることも同じ理屈で説明できます。

✓ 1. これが答え(ミトコンドリア不要)
解糖
解糖は細胞質基質だけで完結し、酸素もミトコンドリアも使いません。だからこそミトコンドリアを持たない成熟赤血球でもATPを産生でき、酸素供給が追いつかない場面でも速やかにATPを供給できます。
✗ 2. 答えではない(ミトコンドリアが必要)
β酸化
β酸化はミトコンドリアのマトリックスで行われます。長鎖脂肪酸はそのままでは内膜を通れず、カルニチンシャトルを使って運び込まれるという点でも、ミトコンドリアに依存した反応です。
✗ 3. 答えではない(ミトコンドリアが必要)
クエン酸回路
クエン酸回路(TCA回路)もミトコンドリアのマトリックスで回ります。アセチルCoAを受け取ってNADH・FADH2とCO2を生み、電子伝達系へ電子を供給する役割です。
✗ 4. 答えではない(ミトコンドリアが必要)
酸化的リン酸化
酸化的リン酸化はミトコンドリア内膜で起こります。電子伝達系とATP合成酵素がこの膜に埋め込まれており、内膜という「仕切り」があってこそH⁺の濃度勾配を作れるため、ミトコンドリアなしでは成立しません。
ポイント
  • 解糖=細胞質基質。酸素もミトコンドリアも不要で、正味2ATPと2NADHを生じる。
  • β酸化とクエン酸回路はミトコンドリア・マトリックス、酸化的リン酸化は内膜
  • ピルビン酸はミトコンドリアに入ってアセチルCoAとなり、そこから先が好気的代謝。
  • 成熟赤血球はミトコンドリアを持たないため、ATPは解糖のみに依存する。
  • 長鎖脂肪酸はカルニチンシャトルで内膜を通過してからβ酸化を受ける。
比較表
反応行われる場所主な産物ミトコンドリア
解糖細胞質基質(サイトゾル)ピルビン酸、正味2ATP、2NADH不要
β酸化ミトコンドリア・マトリックスアセチルCoA、NADH、FADH2必要
クエン酸回路ミトコンドリア・マトリックスNADH、FADH2、GTP、CO2必要
酸化的リン酸化ミトコンドリア内膜多量のATP、H2O必要
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