学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §14 感覚の生理 / QJ31A088

理由で解く 柔道整復師

QJ31A088 生理学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問88
問題
四肢の深部感覚の伝導路に含まれないのはどれか。
選択肢
1 視床
2 内側毛帯
3 脊髄の後根
4 脊髄の前側索
解答
正解4(脊髄の前側索)
解説

四肢の意識にのぼる深部感覚は後索-内側毛帯路を通る。前側索を上る脊髄視床路は温痛覚と粗大な触覚の経路であり、深部感覚の伝導路には含まれない。

位置覚・運動覚・振動覚などの深部感覚は、後根神経節にある一次ニューロンが脊髄後根から入り、脊髄内でシナプスを作らずに同側の後索(下肢からは薄束、上肢からは楔状束)を上行する。延髄の薄束核・楔状束核で二次ニューロンに乗り換え、そこから出た線維が正中で交叉して内側毛帯となり、対側の視床(後外側腹側核)に達する。さらに三次ニューロンが中心後回の一次体性感覚野へ投射して、はじめて意識にのぼる。交叉の位置が延髄である点が、脊髄内で交叉する温痛覚の経路との決定的な違いなので、そこを軸に整理する。

✓ 4. これが正答(伝導路に含まれない)
脊髄の前側索
本問の「前側索」は、外側脊髄視床路と前脊髄視床路からなる前外側系を指し、これが伝えるのは温痛覚と粗大な触覚である。深部感覚は同側の後索を上行して延髄で交叉し、内側毛帯を経て視床へ向かうため、この経路には含まれない。小脳へ向かう無意識の深部感覚は脊髄小脳路が側索を通って運ぶが、これは視床も内側毛帯も経由せず意識にのぼらないため、本問がいう「深部感覚の伝導路」(視床を経て大脳皮質に至る後索-内側毛帯路)とは別系統として扱う。
✗ 1. 含まれる=答えではない
視床
視床の後外側腹側核で三次ニューロンに中継され、大脳皮質へ送られる。嗅覚を除くほぼすべての感覚が視床を通ることも合わせて押さえる。
✗ 2. 含まれる=答えではない
内側毛帯
延髄の後索核から出た二次線維が正中で交叉してつくる線維束が内側毛帯である。この経路が「後索-内側毛帯路」と呼ばれる由来になっている。
✗ 3. 含まれる=答えではない
脊髄の後根
後根は体性感覚の一次求心線維が脊髄に入る入口で、深部感覚も温痛覚もここを通る。感覚の種類を問わず共通の通り道である。
ポイント
  • 深部感覚と識別性触圧覚=後索-内側毛帯路。交叉するのは延髄。
  • 温痛覚と粗大な触覚=脊髄視床路(前外側系=前側索)。交叉するのは脊髄内(入った高さの1〜2髄節上)。
  • どちらも後根から入り、視床を経て中心後回に至るという骨組みは共通。
  • 後索は下肢からが薄束、上肢からが楔状束(第4胸髄より上に存在)。
  • 小脳へ向かう無意識の深部感覚は脊髄小脳路(側索)を通り、視床も内側毛帯も経由せず意識にはのぼらない。本問が問う「深部感覚の伝導路」は意識にのぼる後索-内側毛帯路を指す。
比較表
後索-内側毛帯路脊髄視床路(前外側系=前側索)
伝える感覚深部感覚(位置覚・運動覚・振動覚)、識別性触圧覚温覚・冷覚・痛覚、粗大な触覚
脊髄内の走行同側の後索を上行交叉して対側の前側索を上行
二次ニューロンの起始延髄の薄束核・楔状束核脊髄後角
交叉の位置延髄脊髄(入った高さのすぐ上)
中継核視床(後外側腹側核)視床(後外側腹側核)
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