学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ31A075

理由で解く 柔道整復師

QJ31A075 解剖学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問75
問題
腰神経叢の模式図を示す。大腿内転筋群を支配するのはどれか。
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
解答
正解4
解説

大腿の内転筋群を支配するのは閉鎖神経で、図では4がこれにあたります。図の中で閉鎖孔の上部(閉鎖管)を貫いて大腿の内側へ抜けていく枝は4だけなので、そこを目印にすれば確実に選べます。

図は骨盤を内面から見た腰神経叢の模式図です。右上から第12胸神経〜第5腰神経の前枝が入り、上から順に枝を出していきます。番号を順に追うと、1は最上位で第12肋骨の下縁に沿って外側下方へ走る枝(肋下神経=第12胸神経の前枝)で、そのすぐ下を平行して走る2本が腸骨下腹神経と腸骨鼠径神経です。2は上前腸骨棘のすぐ内側で鼠径靱帯の下をくぐり大腿外側へ抜ける細い枝(外側大腿皮神経)、3は鼠径靱帯の下を筋裂孔で通り抜ける最も太い枝(大腿神経)、4は骨盤側壁を最も内側寄りに下って閉鎖孔の上部を貫く枝(閉鎖神経)です。「腹壁へ広がる上位の枝」「鼠径靱帯の下をくぐる枝」「閉鎖孔を通る枝」の3グループに分けて眺めるのがコツで、内転筋群を探すときは閉鎖孔を通る枝だけを見ればよいことになります。

腰神経叢は第12胸神経の一部から第4腰神経の前枝でつくられ、大腰筋の中で枝分かれします。このうち下方の太い2本が大腿神経(L2〜L4)と閉鎖神経(L2〜L4)で、髄節は同じでも走る道と担当する筋群がはっきり分かれます。大腿神経は大腰筋の外側縁から出て筋裂孔を通り大腿前面へ向かい、股関節屈筋と膝伸筋(大腿四頭筋)を支配します。閉鎖神経は大腰筋の内側縁から出て骨盤の側壁を下り、閉鎖孔の上部にある閉鎖管をくぐって大腿内側に達し、前枝と後枝に分かれて内転筋群(長内転筋・短内転筋・大内転筋・薄筋・外閉鎖筋)を支配します。「外側から出て前面へ=大腿神経/内側から出て内側へ=閉鎖神経」と、大腰筋のどちら側から出るかで支配領域まで結びつけて覚えると、図の問題でも位置関係から絞り込めます。なお大内転筋は閉鎖神経と脛骨神経による二重支配で、内転筋部が閉鎖神経、坐骨結節から起こる伸筋部(ハムストリング由来の部分)が脛骨神経の支配です。

✓ 4. 正しい
4
4は骨盤側壁を最も内側寄りに下行し、閉鎖孔の上部(閉鎖管)を貫いて大腿内側へ出ている枝で、閉鎖神経です。L2〜L4の前枝から起こり、大腿内側で前枝と後枝に分かれて、長内転筋・短内転筋・大内転筋(内転筋部)・薄筋・外閉鎖筋という内転筋群を支配します。皮枝は大腿内側面の知覚を担います。図の中で閉鎖孔を通る枝はこの1本だけです。
✗ 1. 誤り
1
1は図の最上位で、第12肋骨の下縁に沿って外側下方へ走る枝=肋下神経(第12胸神経の前枝)です。この枝と、すぐ下を平行して走る腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経は、いずれも腹壁の筋(腹横筋・内腹斜筋など)と、側腹部から下腹部・鼠径部にかけての皮膚を担当する枝で、骨盤の外へ下りて大腿へ向かうことはありません。したがって大腿の内転筋群とは無関係です。
✗ 2. 誤り
2
2は上前腸骨棘のすぐ内側で鼠径靱帯の下をくぐり、大腿の外側へ抜けている細い枝=外側大腿皮神経(L2〜L3)です。運動枝を持たない純粋な知覚枝で、大腿外側面の皮膚だけを担当します。鼠径靱帯の部位で絞扼されると大腿外側にしびれや痛みが出る(知覚異常性大腿痛)ことでも知られますが、筋は一切支配しません。
✗ 3. 誤り
3
3は鼠径靱帯の下を筋裂孔で通り抜ける、図の中で最も太い枝=大腿神経(L2〜L4)です。大腰筋の外側縁から出て大腿前面へ向かい、腸腰筋・恥骨筋・縫工筋・大腿四頭筋を支配します。同じL2〜L4でも、筋裂孔を通って大腿前面の屈曲・伸展を担う大腿神経と、閉鎖管を通って内側の内転を担う閉鎖神経を対にして整理してください。
ポイント
  • 大腿内転筋群の支配は閉鎖神経(L2〜L4)。閉鎖孔の上部にある閉鎖管を通って大腿内側へ出る。
  • 図の読み方:閉鎖孔を貫く枝=閉鎖神経(4)/鼠径靱帯の下の筋裂孔を通る最も太い枝=大腿神経(3)/上前腸骨棘のすぐ内側を通る細い枝=外側大腿皮神経(2)/第12肋骨の下縁に沿う最上位の枝=肋下神経(1)。
  • 閉鎖神経の支配筋:長内転筋・短内転筋・大内転筋(内転筋部)・薄筋・外閉鎖筋。皮枝は大腿内側面の知覚。
  • 大腿神経(L2〜L4)は大腰筋の外側縁から出て筋裂孔を通り、腸腰筋・恥骨筋・縫工筋・大腿四頭筋を支配。皮枝は伏在神経。
  • 大内転筋は二重支配:内転筋部=閉鎖神経、伸筋部=脛骨神経(坐骨神経)。
  • 腰神経叢はT12の一部〜L4の前枝から成り、腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経・陰部大腿神経・外側大腿皮神経・大腿神経・閉鎖神経を出す。
比較表
図中の番号神経髄節腹壁・骨盤からの出口主な支配筋主な皮膚支配
1肋下神経T12第12肋骨の下縁に沿って腹壁へ腹壁の筋(腹横筋・内腹斜筋など)側腹部〜下腹部
(番号なし)腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経T12〜L1腹壁の筋層内内腹斜筋・腹横筋(下部)下腹部、鼠径部、陰部の一部
(番号なし)陰部大腿神経L1〜L2大腰筋前面を下行し鼠径靱帯の内側寄りを越える挙睾筋陰部、大腿三角部
2外側大腿皮神経L2〜L3鼠径靱帯の下(上前腸骨棘の内側)なし(知覚枝)大腿外側面
3大腿神経L2〜L4筋裂孔腸腰筋・恥骨筋・縫工筋・大腿四頭筋大腿前面、下腿内側〜足内側縁(伏在神経)
4閉鎖神経L2〜L4閉鎖管長内転筋・短内転筋・大内転筋(内転筋部)・薄筋・外閉鎖筋大腿内側面
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