学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ31A057

理由で解く 柔道整復師

QJ31A057 解剖学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問57
問題
右寛骨を内側から見た図を示す。縫工筋の起始はどれか。
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
解答
正解1
解説

縫工筋は上前腸骨棘(ASIS)から起こる。図では1がこれにあたる。

寛骨の前縁は上から順に、腸骨稜→上前腸骨棘→下前腸骨棘→寛骨臼上縁と並ぶので、それぞれに付く構造をセットで覚えるとよい。上前腸骨棘には縫工筋が起始し、鼠径靱帯の外側端も付く(内側端は恥骨結節)。その外側やや後方の腸骨稜前部には大腿筋膜張筋が付着する。下前腸骨棘は大腿直筋の直頭、寛骨臼上縁は同じ大腿直筋の反回頭の起始である。縫工筋は人体で最も長い筋で、上前腸骨棘から大腿前面を内下方へ斜走し、脛骨粗面の内側で薄筋・半腱様筋とともに鵞足を作って停止する。作用は股関節の屈曲・外転・外旋と膝関節の屈曲・内旋で、まとめると「あぐらをかく動き」になる。支配神経は大腿神経(L2〜L4)。上前腸骨棘は縫工筋の急激な収縮による裂離骨折の好発部位でもあり(下前腸骨棘は大腿直筋の牽引による裂離)、スプリント中に股関節前面で突然の疼痛を訴える成長期の選手ではこの鑑別を必ず挙げ、疑えば安静と股関節屈曲位での免荷を指示して画像評価につなぐ。

✓ 1. 正しい
1
図に示された部位のうち、腸骨稜の前端にあたる上前腸骨棘がこれである。縫工筋の起始であり、同時に鼠径靱帯の外側の付着点でもあるため、体表からも触れやすい重要な骨指標となる。正答。
✗ 2. 誤り
2
縫工筋の起始(上前腸骨棘)という条件を満たさない。すぐ近くにあって混同しやすいのが下前腸骨棘で、大腿直筋(直頭)の起始であり、膝伸展+股関節屈曲の強い収縮による裂離骨折が起きやすい場所である。
✗ 3. 誤り
3
これも縫工筋の起始には当たらない。寛骨を内側から見たときに紛らわしいのが腸骨窩で、ここからは腸骨筋が起こり、大腰筋と合して腸腰筋となって小転子に停止する。同じ股関節屈筋でも起始部が異なる。
✗ 4. 誤り
4
縫工筋の起始ではない。寛骨の他の骨指標では、恥骨結節・恥骨櫛に恥骨筋や長内転筋などの内転筋群が、坐骨結節にハムストリングス(大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋)が付着する。
ポイント
  • 上前腸骨棘=縫工筋の起始+鼠径靱帯外側端(内側端は恥骨結節)
  • 下前腸骨棘=大腿直筋の直頭、寛骨臼上縁=大腿直筋の反回頭
  • 縫工筋は人体最長。停止は鵞足(薄筋・半腱様筋と共同)、支配は大腿神経
  • 作用は股関節屈曲・外転・外旋+膝屈曲・内旋=「あぐら」の動き
  • 成長期のスプリントで上前腸骨棘(縫工筋)・下前腸骨棘(大腿直筋)の裂離骨折が起こる
比較表
骨指標付着する筋・靱帯関連する外傷
腸骨稜前部大腿筋膜張筋、外腹斜筋腸骨稜の裂離骨折、ヒップポインター
上前腸骨棘縫工筋、鼠径靱帯(外側端)縫工筋牽引による裂離骨折
下前腸骨棘大腿直筋(直頭)大腿直筋牽引による裂離骨折
坐骨結節ハムストリングスハムストリングス牽引による裂離骨折
恥骨結節・恥骨櫛恥骨筋、長内転筋、鼠径靱帯(内側端)鼠径部痛症候群
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