学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ30P095

理由で解く 柔道整復師

QJ30P095 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問95
問題
疾患と病態の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 スラップ損傷- 上方関節唇損傷
2 ベネット(Bennett) 損傷-腱板疎部損傷
3 少年野球肩-上腕骨近位骨端軟骨損傷
4 肩峰下滑液包炎-インピンジメント
解答
正解2(ベネット(Bennett) 損傷-腱板疎部損傷)
解説

ベネット損傷は肩甲骨関節窩後下縁に生じる骨棘(骨性変化)であり、腱板疎部損傷ではありません。誤りは2です。

投球障害肩は、どの組織にどんな力がかかったかで病態名が分かれます。投球の加速期からフォロースルーにかけて、上腕三頭筋長頭や後方関節包に繰り返し牽引力がかかると、関節窩の後下縁に骨棘が形成されます。これがベネット(Bennett)損傷で、後方の痛みと可動域制限を訴えます。一方、腱板疎部(rotator interval)は棘上筋と肩甲下筋の間の腱のない領域で、烏口上腕靱帯や上関節上腕靱帯が走る場所です。ここの損傷は肩関節の不安定症や拘縮肩と関連づけて語られる別の病態であり、ベネット損傷とは結びつきません。組織名がそのまま病態名になっている組合せ(1・3・4)はまず正しいという視点で見ると、2だけが浮き上がります。

✓ 2. これが誤り(=正答)
ベネット(Bennett) 損傷-腱板疎部損傷
ベネット損傷は肩甲骨関節窩後下縁の骨棘形成を指し、後方関節包や上腕三頭筋長頭起始部への反復牽引が背景にあります。腱板疎部(棘上筋腱と肩甲下筋腱の間)の損傷とは部位も病態も異なります。
✗ 1. 正しい組合せ(=答えではない)
スラップ損傷- 上方関節唇損傷
SLAPはsuperior labrum anterior and posteriorの略で、上腕二頭筋長頭腱付着部を含む上方関節唇の前後にわたる損傷です。名称がそのまま病態を表しています。
✗ 3. 正しい組合せ(=答えではない)
少年野球肩-上腕骨近位骨端軟骨損傷
リトルリーグショルダーとも呼ばれ、骨端線が閉鎖していない年代で投球時の回旋・牽引力により上腕骨近位骨端線が離開するものです。成長期特有の病態で、投球中止と経過観察が基本になります。
✗ 4. 正しい組合せ(=答えではない)
肩峰下滑液包炎-インピンジメント
肩峰・烏口肩峰靱帯と大結節の間で腱板と滑液包が繰り返し挟み込まれる(インピンジメント)ことで、肩峰下滑液包に炎症が生じます。有痛弧徴候やニアー・ホーキンステスト陽性が手がかりです。
ポイント
  • ベネット損傷=肩甲骨関節窩後下縁の骨棘。後方関節包・上腕三頭筋長頭への反復牽引が背景。
  • 腱板疎部=棘上筋腱と肩甲下筋腱の間の領域。烏口上腕靱帯が走り、不安定症や拘縮肩と関連する。
  • SLAP損傷=上方関節唇の損傷。上腕二頭筋長頭腱付着部を含む。
  • 少年野球肩=上腕骨近位骨端線離開。成長期の投球障害で、まず投球を休止する。
  • 肩峰下滑液包炎はインピンジメントの結果として生じる。投球フォームや肩甲帯機能の改善が再発予防につながる。
比較表
病態障害される部位特徴
SLAP損傷上方関節唇(二頭筋長頭腱付着部)クランクテスト等で疼痛・クリック
ベネット損傷肩甲骨関節窩後下縁骨棘形成。後方の痛みと内旋制限
少年野球肩上腕骨近位骨端軟骨(骨端線)成長期。投球時痛、骨端線の開大
肩峰下滑液包炎肩峰下滑液包インピンジメントの結果。有痛弧徴候
腱板疎部損傷棘上筋腱と肩甲下筋腱の間不安定症・拘縮肩と関連する別病態
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