学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ30P079

理由で解く 柔道整復師

QJ30P079 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問79
問題
前腕屈筋の牽引で発症する骨折はどれか。
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
解答
正解2
解説

前腕屈筋・回内筋群は上腕骨内側上顆を共同起始とするため、その牽引で起こるのは上腕骨内側上顆骨折(裂離骨折)。図では2がこれにあたる。

上腕骨内側上顆は、円回内筋・橈側手根屈筋・長掌筋・尺側手根屈筋・浅指屈筋という前腕屈筋回内筋群の共同起始部(屈筋総起始部)であり、内側側副靱帯もここに付着する。投球や槍投げの加速期のように前腕屈筋群が強く収縮したり、肘に外反力が加わったりすると、この付着部に大きな牽引力が集中する。骨端線が閉じていない小児・思春期では骨より腱・靱帯のほうが強いため、腱が切れるかわりに骨片ごと引き剥がされる裂離骨折となる。所見は肘内側の腫脹・限局した圧痛、外反ストレスでの疼痛で、骨片が関節内に嵌入すると肘の伸展制限が明らかになる。内側上顆の後方には尺骨神経溝があるので、初診時と経過中に小指・環指尺側の感覚と手内在筋の筋力を必ず確認する。転位の大きい例や関節内嵌入例は手術適応となるため、早期に医療機関へ紹介したうえで、固定は肘屈曲・前腕回内位で行い、腫脹と神経症状を追跡する。

✓ 2. 正しい
2
図に示された部位のうち、前腕屈筋・回内筋群が共同で起始する上腕骨内側上顆がこれにあたる。屈筋群の牽引によって骨片が引き剥がされる裂離骨折の好発部位であり、正答となる。
✗ 1. 誤り
1
前腕屈筋回内筋群の共同起始部という条件を満たさない。肘周囲で混同しやすいのが上腕骨外側上顆で、こちらは長・短橈側手根伸筋、総指伸筋などの前腕伸筋群の共同起始部であり、牽引で問題になるのは外側上顆炎(テニス肘)や外側上顆の裂離である。
✗ 3. 誤り
3
これも前腕屈筋群の起始部ではない。紛らわしい部位に肘頭があり、上腕三頭筋が停止して、その急激な収縮で肘頭骨折(裂離型)を生じる。牽引する筋が屈筋ではなく伸筋である点が異なる。
✗ 4. 誤り
4
前腕屈筋群の起始部には当たらない。もう一つ紛らわしいのが尺骨鉤状突起で、ここには上腕筋が停止し、肘関節後方脱臼などに伴って骨折することが多く、発生機序が本問とは別である。
ポイント
  • 上腕骨内側上顆=前腕屈筋回内筋群の共同起始+内側側副靱帯付着部
  • 骨端線閉鎖前の小児・思春期は骨より軟部が強く、付着部の裂離骨折になりやすい
  • 投球・槍投げの加速期や肘外反ストレスが典型的な発生機序
  • 骨片の関節内嵌入で伸展制限。尺骨神経麻痺の合併を毎回チェックする
  • 外側上顆=伸筋群、肘頭=上腕三頭筋、鉤状突起=上腕筋、と付着筋で対比して覚える
比較表
部位付着する筋・靱帯牽引で起こる病態
上腕骨内側上顆前腕屈筋回内筋群、内側側副靱帯内側上顆骨折(裂離)、内側上顆炎(野球肘・ゴルフ肘)
上腕骨外側上顆前腕伸筋群外側上顆の裂離、外側上顆炎(テニス肘)
肘頭上腕三頭筋肘頭骨折(裂離型)
尺骨鉤状突起上腕筋鉤状突起骨折(肘関節後方脱臼に合併しやすい)
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