学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ30P078

理由で解く 柔道整復師

QJ30P078 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問78
問題
上腕骨顆上骨折の整復で側面評価に用いるのはどれか。
選択肢
1 キャリング角
2 バウマン角
3 ベーラー角
4 ティルティング角
解答
正解4(ティルティング角)
解説

上腕骨顆上骨折は伸展型が大多数で、遠位骨片が後方へ倒れます。この前後の傾きを側面像で評価する指標がティルティング角で、正答は4です。

顆上部の整復では、方向の違う2つの面をそれぞれ確認します。矢状面(側面)では前後の傾き=屈曲転位を、前額面(正面)では内反・外反の残存を見ます。ティルティング角は上腕骨骨幹部の長軸に対して上腕骨小頭が前方へ傾く角度で、前方傾斜角ともよばれます。正常値はおよそ30〜45度とされますが(教科書によっては30〜50度とする記載もあります)、実際の判定は数値の暗記だけに頼らず健側と比較して行うのが原則です。伸展型骨折では遠位骨片が後方に転位してこの角度が減少するため、整復後に角度が回復しているかを側面で確かめます。正面で見るのがバウマン角とキャリング角で、こちらが戻っていないと内反肘(内反変形治癒)を残します。内反肘は見た目の問題にとどまらず、遅発性尺骨神経麻痺の原因にもなるため、側面と正面の両方をそろえて確認することが大切です。

✓ 4. 正しい
ティルティング角
上腕骨長軸と上腕骨小頭の傾きがつくる角度(前方傾斜角)で、側面像で測ります。伸展型骨折では減少するため、整復の可否を側面から判定する指標になります。
✗ 1. 誤り
キャリング角
肘伸展・前腕回外位で上腕軸と前腕軸がつくる生理的外反角で、前額面の指標です。減少や逆転は内反肘を意味しますが、側面の評価には使いません。
✗ 2. 誤り
バウマン角
正面像で上腕骨長軸と外顆の骨端線がつくる角度(およそ70〜75度)です。内反変形の早期発見に有用ですが、こちらも前額面の指標です。
✗ 3. 誤り
ベーラー角
踵骨の側面像で測る角度(およそ20〜40度)で、踵骨骨折の評価に用います。部位が足部であり、肘の整復には関係しません。
ポイント
  • ティルティング角(前方傾斜角)=側面(矢状面)。上腕骨長軸に対する小頭の前方傾斜で、伸展型では減少する。判定は健側との比較で行う。
  • バウマン角=正面。上腕骨長軸と外顆骨端線のなす角、およそ70〜75度。内反変形の指標。
  • キャリング角=正面。肘伸展・前腕回外位での生理的外反。減少・逆転で内反肘。
  • ベーラー角=踵骨の側面。肘とは無関係。名前だけで選ばない。
  • 整復後は側面と正面の両方を確認する。内反肘は遅発性尺骨神経麻痺の原因になる。
比較表
角度部位見る面正常のめやす何がわかるか
ティルティング角(前方傾斜角)肘(上腕骨遠位)側面(矢状面)健側と比較して判定する前後の傾き=屈曲転位の残存
バウマン角肘(上腕骨遠位)正面(前額面)約70〜75度内反変形の残存
キャリング角肘全体正面(前額面)男性約5〜10度、女性約10〜15度生理的外反の保持、内反肘の有無
ベーラー角踵骨側面約20〜40度踵骨骨折の圧潰の程度
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