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理由で解く 柔道整復師

QJ30P041 一般臨床医学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問41
問題
パーキンソン(Parkinson) 病に特徴的にみられるのはどれか。
選択肢
1 姿勢反射障害
2 痙性対麻痺
3 体幹失調
4 平衡障害
解答
正解1(姿勢反射障害)
解説

姿勢反射障害は、安静時振戦・筋強剛・無動寡動と並ぶパーキンソン病の四大徴候の一つです。他の3つはそれぞれ別の系統(錐体路・小脳・前庭)の障害を指しています。

パーキンソン病では中脳黒質緻密部のドパミン神経細胞が変性し、線条体へのドパミン供給が減って大脳基底核の回路がうまく働かなくなります。姿勢反射とは、体が傾いたときに反射的に足を出したり体幹を立て直したりして倒れないようにする働きで、これが低下すると、後方に軽く引かれただけで立て直せず何歩も後ずさります(突進現象、retropulsion)。前傾前屈姿勢、小刻み歩行、すくみ足、方向転換時の転倒も同じ土台の症状です。姿勢反射障害は発症初期には目立たず、進行して現れるのが特徴で、ホーエン・ヤール分類ではIII度の指標となり、転倒リスクが一段上がる分かれ目になります。ですから「特徴的にみられるのはどれか」と問われれば、パーキンソン病の中核症状である姿勢反射障害が答えです。

✓ 1. 正しい
姿勢反射障害
大脳基底核の障害による立ち直り反射の低下で、四大徴候の一つです。後方へ軽く引くと立て直せずに後ずさる(retropulsion test 陽性)ことで確かめられ、方向転換時やすくみ足からの転倒につながります。
✗ 2. 誤り
痙性対麻痺
両下肢の錐体路が障害されたときの状態で、痙縮・腱反射亢進・バビンスキー徴候陽性を伴い、脊髄腫瘍、頸胸髄症、遺伝性痙性対麻痺などでみられます。パーキンソン病の筋のかたさは錐体外路性の筋強剛で、他動運動の全可動域にわたって一様の抵抗(鉛管様・歯車様)を示す点が、速度依存で折りたたみナイフ現象を示す痙縮とは異なります。
✗ 3. 誤り
体幹失調
小脳虫部の障害で起こり、座位や立位が動揺し、両足を開いて酔ったように歩きます(失調性歩行)。パーキンソン病の歩行は逆に足幅が狭く前傾で小刻みなので、歩き方の形が対照的です。
✗ 4. 誤り
平衡障害
内耳から前庭神経・脳幹に至る前庭系の障害を指し、回転性めまい、眼振、悪心・嘔吐を伴い、一定の方向へ倒れやすいのが典型です。姿勢反射障害と紛らわしいのですが、こちらは立ち直り反射そのものの障害で、めまいや眼振を伴わない点が区別の手がかりになります。
ポイント
  • パーキンソン病の四大徴候は、安静時振戦(4〜6Hz、丸薬丸め様)・筋強剛(鉛管様、歯車様)・無動寡動(仮面様顔貌、小声、小字症)・姿勢反射障害。
  • 姿勢反射障害=立ち直り反射の低下。後方に軽く引くと立て直せず後ずさる(retropulsion)。ホーエン・ヤールIII度の指標で、初期には現れず進行して出る。
  • 筋のかたさの区別。筋強剛は錐体外路性で速度によらず全可動域に一様の抵抗、痙縮は錐体路性で速度依存・折りたたみナイフ現象。
  • ふらつきの区別。小脳性(開脚動揺性歩行、指鼻試験の拙劣)、前庭性(回転性めまい・眼振)、基底核性(姿勢反射障害、めまいなし)。
  • 転倒予防が最優先。歩き出しやすくむ場面では床の線をまたぐ、号令でリズムをとるなどの手がかりを用い、方向転換はゆっくり大回りにする。段差や敷物の整理、手すりの設置も助言する。症状の急な変化や転倒による受傷があれば主治医へ情報を返す。
比較表
徴候主な障害部位見え方確かめ方
姿勢反射障害大脳基底核(黒質—線条体)立て直せず後ずさる、方向転換で転倒、前傾前屈で小刻み歩行後方に軽く引く(retropulsion test)
痙性対麻痺錐体路(多くは脊髄)両下肢が突っ張り、はさみ脚歩行になる腱反射亢進、バビンスキー徴候、折りたたみナイフ現象
体幹失調小脳虫部座位・立位が動揺し、両足を開いて歩く継ぎ足歩行、体幹の動揺の観察
平衡障害前庭系(内耳〜前庭神経・脳幹)回転性めまいを伴い一定方向へ倒れる眼振の観察、足踏み試験
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