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理由で解く 柔道整復師

QJ30P025 一般臨床医学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問25
問題
翼状頸をきたす疾患はどれか。
選択肢
1 クッシング(Cushing) 症候群
2 バセドウ (Basedow)病
3 ターナー(Turner) 症候群
4 パーキンソン(Parkinson) 病
解答
正解3(ターナー(Turner) 症候群)
解説

翼状頸は、首の側面の皮膚が翼のように張ってひだをつくる外表所見で、ターナー症候群を代表する徴候です。低身長・原発性無月経と三つセットで覚えると迷いません。

ターナー症候群は、女性で2本あるべきX染色体の1本が失われる、あるいは一部が欠ける染色体異常(45,X が典型で、モザイクや構造異常もあります)。翼状頸ができるのは胎生期にさかのぼります。頸部のリンパ管の発育が悪くリンパ液が滞って首の横が大きくむくみ(嚢胞状ヒグローマ)、その後むくみが引いたときに伸びた皮膚が余ってひだとして残る、という順序です。ですから翼状頸は「今むくんでいる」のではなく「昔むくんだ跡」で、押しても凹まない皮膚のひだとして触れます。ほかに低身長、卵巣の形成不全による二次性徴の遅れと原発性無月経、外反肘、後頸部の生え際が低い、盾状胸、大動脈縮窄や大動脈二尖弁といった心血管奇形を伴い、知能は通常保たれます。首まわりの見た目が変わる疾患は他にもあるので、変化の正体が「皮膚のひだ」なのか「脂肪」なのか「甲状腺の腫大」なのかで整理しておきましょう。

✓ 3. 正しい
ターナー(Turner) 症候群
X染色体の欠失による女性の染色体異常で、翼状頸はその代表的な外表所見です。胎生期の頸部リンパうっ滞の名残という成因まで押さえておくと、低身長・原発性無月経・外反肘・心血管奇形といった他の所見と一緒に思い出せます。
✗ 1. 誤り
クッシング(Cushing) 症候群
コルチゾールの過剰による疾患で、中心性肥満、満月様顔貌、後頸部から肩にかけての脂肪の盛り上がり(水牛様肩)、赤紫色の皮膚線条、高血圧、耐糖能異常、骨粗鬆症が特徴です。首の後ろが厚くなるのは脂肪の再分布によるもので、皮膚がひだ状に張る翼状頸とは所見の中身が違います。
✗ 2. 誤り
バセドウ (Basedow)病
甲状腺機能亢進症の代表で、びまん性甲状腺腫・眼球突出・頻脈のメルゼブルク三徴が有名です。首が太く見えるのは甲状腺そのものが腫れているためで、嚥下に伴って上下する腫大として触れます。皮膚のひだである翼状頸とは別物です。
✗ 4. 誤り
パーキンソン(Parkinson) 病
中脳黒質のドパミン神経細胞が変性する神経変性疾患で、安静時振戦・筋強剛・無動寡動・姿勢反射障害が四大徴候です。前傾前屈の姿勢をとり、首が前に垂れることもありますが、これは姿勢の変化であって翼状頸ではありません。
ポイント
  • 翼状頸=ターナー症候群。胎生期の頸部リンパうっ滞(嚢胞状ヒグローマ)が引いた後に残る皮膚のひだで、押しても凹まない。
  • ターナー症候群は45,X などX染色体の欠失(女性のみ)。低身長・原発性無月経・外反肘・後頸部の低い生え際・大動脈縮窄/二尖弁を伴い、知能は通常保たれる。
  • 首の見た目が変わる他の疾患と成因で区別する。クッシング症候群=脂肪の沈着(水牛様肩)、バセドウ病=甲状腺の腫大。
  • 翼状頸はヌーナン症候群でもみられる。こちらは男女ともに起こり染色体は正常なので、「翼状頸=必ずターナー」と決めつけない。
  • 低身長や外反肘、二次性徴の遅れに気づいたときは、病名を告げず「一度きちんと診てもらいましょう」と医療機関の受診をすすめる。心血管奇形を伴うことがあるため、運動負荷をかける前に主治医の管理状況を確認する。
比較表
疾患頸部・肩まわりの所見変化の正体あわせてみる所見
ターナー症候群翼状頸、後頸部の生え際が低い胎生期のリンパうっ滞の名残=余った皮膚のひだ低身長、原発性無月経、外反肘、大動脈縮窄
クッシング症候群後頸部から肩の盛り上がり(水牛様肩)脂肪の再分布満月様顔貌、中心性肥満、赤紫色の皮膚線条、高血圧
バセドウ病首全体が太く見える甲状腺のびまん性腫大(嚥下で上下する)眼球突出、頻脈、体重減少、手指振戦
パーキンソン病前傾前屈姿勢、首が前に垂れることがある筋強剛と姿勢保持の障害安静時振戦、無動、小刻み歩行
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