学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §11 骨の生理 / QJ30A094

理由で解く 柔道整復師

QJ30A094 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問94
問題
血中のリン酸濃度を低下させるのはどれか。
選択肢
1 インスリン減少
2 カルシトニン減少
3 ビタミンD過剰
4 副甲状腺ホルモン(上皮小体ホルモン)過剰
解答
正解4(副甲状腺ホルモン(上皮小体ホルモン)過剰)
解説

副甲状腺ホルモン(PTH)は腎臓でリンの再吸収を抑えて尿へ捨てさせるため、血中リン酸濃度を下げます。「PTH はカルシウムを上げてリンを下げる」と一組で覚えるのが最短ルートです。

PTH の作用は 4 つです。骨では破骨細胞を介した骨吸収を促してカルシウムとリンを血中へ動員し、腎の遠位尿細管ではカルシウムの再吸収を増やします。同時に腎の近位尿細管で Na⁺-リン酸共輸送体を減らしてリンの再吸収を抑え(リン利尿)、さらに 1α水酸化酵素を活性化して活性型ビタミン D の産生を増やします。骨と腸からはリンも入ってきますが、腎からのリン利尿がそれを上回るため、正味では血中リンが下がります。実際、原発性副甲状腺機能亢進症では高カルシウム血症と低リン血症が同時にみられ、この所見の組合せが診断の手がかりになります。

✓ 4. 正しい
副甲状腺ホルモン(上皮小体ホルモン)過剰
近位尿細管でのリン再吸収を強く抑えるため、尿中へのリン排泄が増え血中リン酸濃度は低下します。カルシウムは骨吸収と腎再吸収の促進で上昇し、「Ca 上昇・P 低下」という特徴的な組合せになります。
✗ 1. 誤り
インスリン減少
インスリンはグルコースとともにリンを細胞内へ移動させるため、血中リンを下げる向きに働きます。したがってその「減少」では血中リンは下がりません。糖尿病性ケトアシドーシスの治療でインスリンを投与すると低リン血症が起こるのはこの作用によります。
✗ 2. 誤り
カルシトニン減少
カルシトニンは骨吸収を抑え、腎からのカルシウムとリンの排泄を促すので、血中のカルシウムもリンも下げる方向のホルモンです。その減少は血中リンを下げる方向には働きません。
✗ 3. 誤り
ビタミンD過剰
活性型ビタミン D は小腸からのカルシウム吸収とともにリンの吸収も促進するため、血中リンはむしろ上昇方向です。ビタミン D 過剰症で高カルシウム血症と高リン血症がみられるのはこのためです。
ポイント
  • PTH:血中 Ca を上げ、血中 P を下げる(腎でのリン利尿が決め手)。
  • 活性型ビタミン D:腸で Ca も P も吸収を増やすので、両方を上げる。
  • カルシトニン:骨吸収を抑え腎排泄を促すので、Ca も P も下げる。
  • 原発性副甲状腺機能亢進症=高 Ca 血症+低 P 血症。
  • インスリンはリンを細胞内へ移す。投与時の低リン血症に注意。
比較表
ホルモン血中 Ca血中 P主な作用部位
副甲状腺ホルモン(PTH)上昇低下骨吸収↑、腎で Ca 再吸収↑・P 再吸収↓、活性型ビタミン D 産生↑
活性型ビタミン D上昇上昇小腸で Ca・P の吸収↑
カルシトニン低下低下破骨細胞抑制、腎で Ca・P 排泄↑
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