学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ30A074

理由で解く 柔道整復師

QJ30A074 解剖学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問74
問題
右の反回神経が反回する動脈はどれか。
選択肢
1 肋頸動脈
2 鎖骨下動脈
3 腕頭動脈
4 大動脈
解答
正解2(鎖骨下動脈)
解説

右の反回神経(右下喉頭神経)は、右鎖骨下動脈の下をくぐって後方へ回り込み、気管食道溝を上行する。正答は2。

左右で反回する場所が違うのは、胎生期の大動脈弓の運命が左右で異なるためである。迷走神経の反回枝はもともと第6大動脈弓の尾側を通っており、左側では第6弓の背側部が動脈管として残り(生後は動脈管索)、そのため左反回神経は胸腔内まで下りて大動脈弓を回ってから上行する。右側では第5弓と第6弓背側部が退縮するので、神経のフックは1つ頭側の第4弓由来である右鎖骨下動脈まで繰り上がり、頸部で反回する。結果として左反回神経は右より長く縦隔を走り、大動脈瘤・肺癌の縦隔リンパ節転移・左心房拡大などで巻き込まれて嗄声(左声帯麻痺)を来しやすい。甲状腺の手術では左右とも下甲状腺動脈との交差部で走行を確認する必要がある。

✓ 2. 正しい
鎖骨下動脈
右迷走神経は総頸動脈と内頸静脈の間を下り、前斜角筋の内側で右鎖骨下動脈第1部の前面を横切る。そこで反回神経を分け、反回神経は鎖骨下動脈の前から下・後へ回り込んで頸部へ戻り、気管食道溝を上って輪状甲状筋を除く喉頭筋を支配する。なお前斜角筋の前面を下るのは横隔神経であり、迷走神経・反回神経は前斜角筋の内側を通る。この2本は取り違えやすいので対にして確認したい。右は頸部で反回する、と発生の理由(第4弓由来)とセットで覚えると左右も間違えにくい。
✗ 1. 誤り
肋頸動脈
肋頸動脈は鎖骨下動脈第2部から後方へ出る枝で、最上肋間動脈と深頸動脈に分かれる。反回神経が回るのは本幹である鎖骨下動脈であり、その枝ではない。血管名を選ぶときは「幹か枝か」をまず区別したい。
✗ 3. 誤り
腕頭動脈
腕頭動脈は大動脈弓の第1枝で、右総頸動脈と右鎖骨下動脈に分かれる元の幹である。反回神経がフックするのは分岐したあとの右鎖骨下動脈で、腕頭動脈そのものではない。分岐前後のどちらかを問われていると意識して読むとよい。
✗ 4. 誤り
大動脈
大動脈(大動脈弓)を回るのは左反回神経で、動脈管索の外側をくぐって上行する。本問は「右の」と限定しているので、左の走行と入れ替えないよう、設問の左右を先に丸で囲んでから選択肢を見る習慣をつけたい。
ポイント
  • 右反回神経=右鎖骨下動脈を回る(頸部で反回)。左反回神経=大動脈弓を動脈管索の外側で回る(胸腔内で反回)。
  • 右迷走神経は前斜角筋の内側で右鎖骨下動脈第1部の前面を横切る。前斜角筋の前面を下るのは横隔神経で、両者は別物。
  • 理由は発生。右は第4大動脈弓(→右鎖骨下動脈)、左は第6大動脈弓(→動脈管索)に引っかかったまま残る。
  • 左が長く縦隔を走るため、大動脈瘤・肺癌の縦隔リンパ節転移・左房拡大などで左声帯麻痺(嗄声)が起こりやすい。
  • 反回神経は輪状甲状筋以外のすべての喉頭筋を支配する。輪状甲状筋は上喉頭神経外枝。
  • 両側麻痺では声門が閉じ気味となり、呼吸困難を来しうる。嗄声や吸気性喘鳴があれば速やかに医療機関受診につなげる。
比較表
項目右反回神経左反回神経
反回する血管右鎖骨下動脈(第1部の前面を横切ってから回り込む)大動脈弓(動脈管索の外側)
発生上の由来第4大動脈弓第6大動脈弓(動脈管)
反回する高さ頸部(鎖骨下)胸腔内(上縦隔)
走行の長さ短い長い
麻痺を来しやすい病態甲状腺手術、頸部腫瘤大動脈瘤、肺癌の縦隔リンパ節転移、左房拡大
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