学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §21 各論(軟部組織損傷) 頭部・体幹 / QJ29P098

理由で解く 柔道整復師

QJ29P098 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問98
問題
背部軟部組織損傷と痛みを誘発する動きの組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 後頸筋損傷-頸椎前屈
2 肩甲周囲筋損傷-上肢外転
3 脊柱起立筋損傷ーー体幹回旋
4 棘上靱帯損傷-胸腰椎後屈
解答
正解4(棘上靱帯損傷-胸腰椎後屈)
解説

棘上靱帯は棘突起の先端どうしをつなぐ後方の靱帯で、引き伸ばされるのは前屈のとき。後屈では緩むため、「胸腰椎後屈」との組合せが答え。

軟部組織損傷の疼痛誘発動作は、「損傷した組織が引き伸ばされる方向」か「収縮を強いられる方向」で決まる、という一つの原則で説明できる。脊柱の後方にある伸筋群(後頸筋群・脊柱起立筋)や後方靱帯群(棘上靱帯・棘間靱帯・項靱帯)は、頸部や体幹を前屈すると棘突起の間隔が開くため伸張されて痛む。逆に後屈するとこれらは緩むので疼痛は誘発されにくい。したがって棘上靱帯損傷で痛みを誘発するのは胸腰椎の前屈であり、後屈と結び付けるのは筋が通らない。この原則を押さえておけば、組合せ問題を一つずつ暗記しなくても、その場で組み立てられる。

✓ 4. これが答え(成り立たない組合せ)
棘上靱帯損傷-胸腰椎後屈
棘上靱帯は隣り合う棘突起の先端を縦につなぐ靱帯で、前屈して棘突起間が開くときに最も引き伸ばされる。後屈では棘突起どうしが近づいて靱帯は緩むため、疼痛の誘発動作としては前屈が正しい。棘突起先端に一致した限局性圧痛と、前屈での増強がそろえば本損傷を疑う。
✗ 1. 答えではない(成り立つ組合せ)
後頸筋損傷-頸椎前屈
頭半棘筋・頭板状筋など後頸部の伸筋群は、頸椎を前屈すると伸張される。受傷後に顎を引く動作で後頸部が突っ張るように痛むのはこの機序による。
✗ 2. 答えではない(成り立つ組合せ)
肩甲周囲筋損傷-上肢外転
僧帽筋・菱形筋・肩甲挙筋などは、上肢を外転・挙上する際に肩甲骨を上方回旋させ固定するために働く。損傷部が収縮を強いられるため疼痛が誘発される。
✗ 3. 答えではない(成り立つ組合せ)
脊柱起立筋損傷ーー 体幹回旋
体幹の回旋では一側の脊柱起立筋が伸張され、対側が収縮するため、いずれの側の損傷でも疼痛が誘発される。前屈位からの起き上がりでも痛むが、回旋でも十分に再現される。
ポイント
  • 誘発動作の原則は「損傷組織が伸ばされる方向」または「収縮を強いられる方向」で痛む。
  • 脊柱後方の伸筋群・後方靱帯群は前屈で伸張され、後屈では緩む。
  • 棘上靱帯損傷 → 前屈で疼痛、棘突起先端に限局性圧痛。
  • 肩甲周囲筋は上肢の外転・挙上で働くため、その動作で誘発される。
  • 誘発動作は診断の手がかりであると同時に、急性期に避ける動作でもある。可能な動作から段階的に戻す。
比較表
損傷組織伸張/収縮される動き疼痛を誘発する動き
後頸筋群(頭半棘筋・頭板状筋など)前屈で伸張頸椎前屈
肩甲周囲筋(僧帽筋・菱形筋・肩甲挙筋)上肢挙上時に収縮・牽引上肢外転・挙上
脊柱起立筋回旋・前屈で伸張/収縮体幹回旋、体幹前屈
棘上靱帯前屈で伸張、後屈で弛緩胸腰椎前屈(後屈ではない)
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