学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §21 各論(軟部組織損傷) 頭部・体幹 / QJ29P097

理由で解く 柔道整復師

QJ29P097 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問97
問題
肋間筋損傷で正しいのはどれか。
選択肢
1 直達外力で発生する。
2 皮下出血斑がみられる。
3 体幹の回旋で疼痛が増強する。
4 外傷性皮下気腫を合併する。
解答
正解3(体幹の回旋で疼痛が増強する。)
解説

肋間筋損傷は咳・くしゃみ・体幹の急な捻りといった介達外力で起こる。深部の筋が伸張と収縮を強いられるため、体幹の回旋で疼痛が増強するのが正しい。

肋間筋は肋骨と肋骨の間を斜めに走る薄い筋で、外肋間筋は吸気、内肋間筋は努力呼気に働く。急激な咳やくしゃみ、投球やゴルフのスイングのように体幹を素早く捻る動作で筋が急に収縮あるいは引き伸ばされて損傷することが多く、外から殴られる・ぶつかるといった直達外力による打撲とは発生機転が異なる。症状は肋間に一致した限局性圧痛と、深呼吸・咳・体幹の回旋や側屈で増強する疼痛が中心となる。臨床上は肋骨骨折との鑑別が要点で、胸郭を前後や側方から圧迫して離れた部位が痛む介達痛や、軋轢音があれば骨折を疑う。呼吸困難や握雪感(皮下気腫)を伴う場合は肺損傷の可能性を考え、速やかに医療機関へつなぐ。

✓ 3. 正しい
体幹の回旋で疼痛が増強する。
回旋では一側の肋間筋が伸張され、対側が収縮するため、損傷部にそのまま負荷がかかる。深呼吸や咳でも胸郭が動いて痛む。動作で再現される限局性の痛みが診断の手がかりとなり、痛みの出る方向を避けた安静と、テーピング等による胸郭の動きの制限が対応の基本になる。
✗ 1. 誤り
直達外力で発生する。
主な機転は咳・くしゃみ・急な捻転などの介達外力(自家筋力による過度の収縮・伸張)。直達外力が加わった場合は、まず肋骨骨折や胸壁の打撲を考える。
✗ 2. 誤り
皮下出血斑がみられる。
肋間筋は肋骨に挟まれた深層の筋であり、しかも介達外力による損傷が主体なので、出血が皮膚面まで及んで斑として現れることは通常ない。皮下出血斑を認めた場合は直達外力による打撲や骨折を考える。
✗ 4. 誤り
外傷性皮下気腫を合併する。
皮下気腫は折れた肋骨が肺を傷つけ、空気が胸壁の皮下へ漏れ出したときの所見で、気胸を伴う重篤な状態を示す。肋間筋損傷単独では起こらない。握雪感を触れたら直ちに医療機関へつなぐ。
ポイント
  • 肋間筋損傷は介達外力(咳・くしゃみ・体幹の捻り)で発生する。直達外力なら肋骨骨折・打撲を疑う。
  • 疼痛は深呼吸・咳・体幹の回旋や側屈で増強し、肋間に一致した限局性圧痛がある。
  • 深部の筋なので皮下出血斑は通常みられない。
  • 皮下気腫(握雪感)や呼吸困難は肋骨骨折+肺損傷のサイン。直ちに医療機関へつなぐ。
  • 鑑別には介達痛(胸郭圧迫試験)と軋轢音の有無を用いる。
比較表
肋間筋損傷肋骨骨折
発生機転介達外力(咳・くしゃみ・捻転)直達外力が多い。介達外力(胸郭の圧迫)でも生じる
介達痛(胸郭圧迫試験)陰性陽性のことが多い
軋轢音なし認めることがある
皮下出血斑通常なし直達外力例でみられる
皮下気腫・呼吸困難単独では起こらない肺損傷・気胸の合併を示す
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