学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ29P068

理由で解く 柔道整復師

QJ29P068 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問68
問題
肩腱板損傷で正しいのはどれか。
選択肢
1 筋萎縮がみられる。
2 肩関節外転 150度以上で疼痛を生じる。
3 烏口突起の1横指外側に圧痛がみられる。
4 単純エックス線画像で石灰沈着がみられる。
解答
正解1(筋萎縮がみられる。)
解説

腱板損傷では時間の経過とともに、断裂した棘上筋・棘下筋そのものの萎縮に、痛みで肩を使わない廃用性の萎縮が重なり、棘上窩・棘下窩がへこんで見えるようになる。

腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の腱が上腕骨頭を包む構造で、外転の初動と骨頭の求心位保持を担う。断裂すると骨頭を引きつけられず上方へずれ、大結節が肩峰下でこすれるため外転60〜120度で痛む(有痛弧)。圧痛は断裂部に一致して大結節部に出る。時間が経つと筋腹が縮み脂肪に置き換わり、萎縮が外見でも分かるようになる。

✓ 1. 正しい
筋萎縮がみられる。
断裂した腱の筋は張力を失って萎縮し、さらに痛みで動かさない期間が続くと廃用性萎縮が加わる。いずれも経過とともに進む変化で、左右を比べて患側の棘上窩・棘下窩が陥凹していれば有力な手がかりになる。
✗ 2. 誤り
肩関節外転 150度以上で疼痛を生じる。
痛むのは大結節が肩峰下を通過する外転60〜120度の範囲で、そこを越えると軽くなる。150度以上の最終域で痛むのは肩鎖関節障害を疑う所見。
✗ 3. 誤り
烏口突起の1横指外側に圧痛がみられる。
烏口突起の約1横指外側は結節間溝の体表投影にあたり、ここの圧痛は上腕二頭筋長頭腱炎を示す所見である。腱板損傷の圧痛は断裂部に一致する大結節部で、肩峰の前外側縁のすぐ下を押すと再現される。
✗ 4. 誤り
単純エックス線画像で石灰沈着がみられる。
石灰沈着は石灰沈着性腱板炎の所見。腱板損傷は軟部組織の断裂なのでX線には写らず、肩峰骨頭間距離の狭小化や大結節の骨硬化といった間接所見にとどまる。断裂そのものの確認には超音波やMRIが有用。
ポイント
  • 腱板=棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋。骨頭を関節窩に引きつけ求心位を保つ
  • 有痛弧は外転60〜120度。150度以上の痛みは肩鎖関節障害を示唆
  • 圧痛点は大結節部。烏口突起の約1横指外側=結節間溝の圧痛は上腕二頭筋長頭腱炎
  • 筋萎縮は経過とともに進む所見。陳旧例では棘上窩・棘下窩の陥凹とドロップアームサイン
  • X線で石灰沈着=石灰沈着性腱板炎。断裂の描出は超音波・MRI
比較表
疾患圧痛部位痛む肢位単純X線
腱板損傷大結節部外転60〜120度間接所見のみ
石灰沈着性腱板炎大結節部(激痛)安静時痛も強い石灰陰影
肩鎖関節障害肩鎖関節上外転150度以上・水平内転関節裂隙の変化
上腕二頭筋長頭腱炎結節間溝(烏口突起の約1横指外側)抵抗下の肘屈曲・回外特徴に乏しい
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