学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §24 部位別各論 足・足趾 / QJ29P066

理由で解く 柔道整復師

QJ29P066 整形外科学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問66
問題
初期の後脛骨筋腱機能不全にみられるのはどれか。
選択肢
1 扁平足
2 外脛骨
3 踵部外反
4 外反母趾
解答
正解2(外脛骨)
解説

出題時の正答は2「外脛骨」ですが、本問は採点上「全員正解」の措置がとられました。理由は「問題として適切であるが、受験者レベルでは難しすぎるため」とされています。

後脛骨筋腱機能不全は、内側縦アーチを内側から吊り上げている後脛骨筋腱が変性・伸長して働かなくなる病態で、中高年女性に多い後天性扁平足の主な原因です。病期は段階的に進み、初期(ステージ1)は腱そのものの炎症・変性の段階で、内果の後下方から舟状骨にかけての腫脹と圧痛、つま先立ちの際の痛みが主体となり、足のアライメントはまだ保たれていて扁平足も踵の外反も現れていません。進行するとアーチが落ちて柔らかい扁平足となり(ステージ2)、片脚での踵挙上が困難になり、後ろから見ると足趾が外側に多く見えるようになります。さらに進むと変形が固定します(ステージ3以降)。ここで外脛骨ですが、これは舟状骨の内側にある先天性の過剰骨であり、病気の進行によって新たに出現する所見ではありません。疾患の有無にかかわらずもともと存在する解剖学的変異で、後脛骨筋腱の停止部にあたるため腱の張力が集中する素因として働き、初期から舟状骨内側の隆起と圧痛として確認できます。本問の解き筋はしたがって消去法です。扁平足・踵部外反・外反母趾はいずれも変形が出そろった進行期の所見であり、初期に該当しうるのは外脛骨だけが残ります。「初期にみられるもの」という問い方と、先天的な素因である外脛骨との関係は分かりにくく、この問が全員正解の措置を受けた背景もそこにあると考えられます。初期は内側アーチを支える足底装具、後脛骨筋の求心性・遠心性トレーニング、荷重量と活動量の調整で対応し、痛みが続く場合は整形外科での評価につなげます。

✓ 2. 正しい(ただし本問は全員正解の措置)
外脛骨
外脛骨は舟状骨内側にある先天性の過剰骨で、後脛骨筋腱の停止部にあたります。病気の進行によって新たに生じるものではなく、疾患の有無にかかわらず存在する解剖学的変異ですが、この部位に腱の張力が集中するため機能不全の素因として働き、足の形がまだ崩れていない初期の段階でも舟状骨内側の隆起と圧痛として確認できます。他の3つが進行期の変形であることから、消去法でこの肢が残ります。
✗ 1. 誤り
扁平足
内側縦アーチが落ちるのは、腱が伸びて支持力を失った進行期(ステージ2以降)の所見です。初期には腱の痛みはあってもアーチはまだ保たれています。
✗ 3. 誤り
踵部外反
後足部の外反もアーチが崩れてから現れる変形で、進行の指標となります。後ろから見て足趾が外側に多く見える所見と合わせて評価しますが、初期には認めません。
✗ 4. 誤り
外反母趾
外反母趾は、扁平足や回内足が進んで前足部への荷重の向きが変わった結果として合併しうる二次的な変形です。初期の後脛骨筋腱機能不全でみられる所見ではありません。
ポイント
  • 後脛骨筋腱は内側縦アーチを吊り上げる主役。ここが破綻すると成人期扁平足になる。
  • 初期(ステージ1)は腱の炎症の段階。内果後下方の腫脹・圧痛はあるが、扁平足・踵部外反はまだ出ていない。
  • 外脛骨は後脛骨筋腱の停止部にある先天性の過剰骨。病気で新たに生じる所見ではなく、腱の張力が集中する素因として働き、疾患の有無にかかわらず初期から確認できる。
  • 本問の解き筋は消去法。扁平足・踵部外反・外反母趾はいずれも進行期の所見なので、初期に該当しうるのは外脛骨だけ。
  • 進行の指標は、片脚踵挙上ができない、後ろから足趾が多く見える、アーチの低下。
  • 初期対応は内側アーチを支える足底装具、後脛骨筋のトレーニング、荷重・活動量の調整。痛みが続けば整形外科へ。
比較表
病期腱の状態足のかたち片脚踵挙上
ステージ1(初期)腱鞘炎・変性。内果後下方の腫脹と圧痛変形なし(アーチは保たれる)可能だが痛む
ステージ2腱の伸長・部分断裂柔らかい扁平足、踵部外反困難
ステージ3腱の破綻+関節拘縮固い扁平足(手で矯正できない)不能
ステージ4距骨が傾き足関節まで外反変形不能
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