学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §18 主要な疾患 腎・尿路疾患 / QJ29P042

理由で解く 柔道整復師

QJ29P042 一般臨床医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問42
問題
腎前性急性腎障害の原因となるのはどれか。
選択肢
1 脱水
2 腎梗塞
3 前立腺癌
4 急性糸球体腎炎
解答
正解1(脱水)
解説

腎前性急性腎障害は、腎そのものは保たれているのに腎への血流(灌流)が足りず、糸球体濾過量が低下する病態である。循環血液量が減る脱水はその典型的な原因にあたる。

急性腎障害は障害の場所によって三つに分けられる。腎前性は腎に届く血液が足りない状態で、脱水、出血、重症下痢・嘔吐、心不全、ショック、広範囲熱傷などが原因となる。腎組織自体は無傷なので、尿細管は水とナトリウムを必死に再吸収しようとし、その結果として尿量減少、尿比重上昇、尿中ナトリウム低値、そして尿素の再吸収亢進によるBUN/クレアチニン比の上昇(おおむね20以上)がみられる。原因を取り除いて輸液を行えば速やかに回復しうるのが特徴である。腎性は腎実質そのものの障害で、虚血や腎毒性物質による急性尿細管壊死のほか、急性糸球体腎炎、間質性腎炎、腎梗塞などが含まれる。腎後性は尿路の閉塞で、前立腺癌・前立腺肥大症、両側尿管結石、後腹膜線維症などが原因となり、閉塞を解除すれば改善する。高齢者や発熱・下痢が続いている患者では脱水が起こりやすいので、施術前に飲水量や尿量、皮膚のツルゴール、口腔粘膜の乾燥を確認し、疑わしければ水分摂取を促し医療機関受診を勧める。

✓ 1. 正しい
脱水
循環血液量が減少して腎血流量と糸球体濾過量が低下するため、腎前性急性腎障害の代表的な原因となる。腎組織は保たれているので、早期に輸液で循環血液量を回復させれば腎機能も戻りやすい。
✗ 2. 誤り
腎梗塞
腎動脈やその分枝が閉塞して腎実質が虚血性に壊死する病態であり、腎そのものが傷害されるため腎性に分類される。心房細動などに伴う血栓塞栓が原因となり、突然の側腹部痛とLDH上昇を伴うことが多い。
✗ 3. 誤り
前立腺癌
腫瘍が尿道や膀胱三角部を閉塞して尿の流出が妨げられ、腎盂内圧が上昇して濾過が滞る腎後性の原因である。両側の尿路が閉塞して初めて腎障害として現れる点も押さえておきたい。
✗ 4. 誤り
急性糸球体腎炎
免疫複合体の沈着により糸球体そのものに炎症が起こる疾患で、腎実質の障害=腎性に分類される。血尿・蛋白尿・浮腫・高血圧を伴う点も、腎前性とは異なる特徴である。
ポイント
  • 腎前性=腎血流の低下(脱水、出血、心不全、ショック、熱傷)。腎組織は無傷で、輸液により回復しうる。
  • 腎前性の検査所見:尿量減少、尿比重上昇、尿中Na低値、BUN/クレアチニン比の上昇(およそ20以上)。
  • 腎性=腎実質の障害(急性尿細管壊死、急性糸球体腎炎、間質性腎炎、腎梗塞)。
  • 腎後性=尿路の閉塞(前立腺癌・前立腺肥大症、両側尿管結石、後腹膜線維症)。閉塞解除で改善する。
  • 高齢者や下痢・発熱が続く患者は脱水に陥りやすい。飲水量・尿量・皮膚のツルゴールを確認する。
比較表
分類障害の場所代表的原因対応
腎前性腎に届く血流脱水、出血、心不全、ショック、熱傷輸液・循環血液量の補正
腎性腎実質(糸球体・尿細管・間質・腎血管)急性尿細管壊死、急性糸球体腎炎、間質性腎炎、腎梗塞原疾患の治療、必要に応じ透析
腎後性腎盂より下の尿路前立腺癌・前立腺肥大症、両側尿管結石、後腹膜線維症閉塞の解除(カテーテル、腎瘻)
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