学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §18 主要な疾患 腎・尿路疾患 / QJ29P041

理由で解く 柔道整復師

QJ29P041 一般臨床医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問41
問題
血尿の原因とならないのはどれか。
選択肢
1 IgA腎症
2 尿路結石症
3 前立腺肥大症
4 急性糸球体腎炎
解答
正解3(前立腺肥大症)
解説

この設問は「血尿の原因とならない」ものを選ぶ形式。血尿を代表的な症状としないのは前立腺肥大症で、残る3つはいずれも血尿を来す代表疾患である。

血尿は尿路のどこかで赤血球が尿中に漏れ出た状態で、まず糸球体性か非糸球体性かで整理する。IgA腎症と急性糸球体腎炎は糸球体の障害により赤血球が濾過膜をすり抜けるため、変形赤血球や赤血球円柱、蛋白尿を伴う糸球体性血尿を示す。尿路結石症は結石が尿路粘膜を機械的に擦るため、疝痛発作とともに血尿が現れる非糸球体性の代表である。一方、前立腺肥大症は尿道を取り巻く移行領域が腫大して尿路を狭める疾患であり、前面に出るのは尿勢低下・排尿遅延・残尿感・頻尿・夜間頻尿といった排尿症状で、血尿は主症状に挙がらない。肥大した前立腺部の粘膜血管がうっ血して肉眼的血尿を来す例もあるが、血尿を典型症状とする他の3つと並べたとき、最も当てはまらないのは前立腺肥大症である。なお現場で肉眼的血尿を訴える人に出会ったら、とくに痛みを伴わない血尿は膀胱癌などの可能性も含めて、泌尿器科の受診を勧める。

✗ 1. 血尿の原因となる(答えではない)
IgA腎症
糸球体メサンギウム領域へのIgA沈着による慢性糸球体腎炎の代表で、日本人に多い。上気道炎などの感染とほぼ同時期(1〜3日以内)に肉眼的血尿が出現するのが特徴で、平時も顕微鏡的血尿と蛋白尿が持続する。血尿を主徴とする疾患であり、設問が求める「原因とならないもの」には当たらない。
✗ 2. 血尿の原因となる(答えではない)
尿路結石症
結石が尿管などの粘膜を傷つけるため、血尿は高頻度にみられる。側腹部から背部にかけての突然の激しい疝痛発作、患側の肋骨脊柱角(CVA)叩打痛、悪心・嘔吐を伴い、痛みは鼠径部や陰部へ放散する。腰背部痛を訴えて来所することがあり、内臓由来の痛みを見分ける代表例として押さえておきたい。
✓ 3. これが答え(血尿を主症状とする疾患には当たらない)
前立腺肥大症
加齢に伴い前立腺の移行領域が腫大して尿道を圧迫する疾患で、症状の中心は下部尿路症状である。尿勢低下・排尿遅延・尿線途絶・残尿感といった排尿症状と、頻尿・夜間頻尿・尿意切迫感といった蓄尿症状が並び、進行すると尿閉に至ることもある。血尿は典型症状として挙がらないため、4肢のなかで「血尿の原因とならないもの」として選ぶのはこれになる。
✗ 4. 血尿の原因となる(答えではない)
急性糸球体腎炎
A群β溶血性連鎖球菌などの感染から1〜3週間の潜伏期を置いて発症し、血尿・蛋白尿・浮腫・高血圧・乏尿を来す。糸球体の炎症により赤血球が漏れ出るため血尿は必発に近く、コーラ色・洗肉水様(肉を洗った水のような色)と表現される。小児に多く、多くは安静と対症療法で軽快する。設問が求める「原因とならないもの」には当たらない。
ポイント
  • 設問は否定形。「血尿を来す代表疾患」を3つ消して残ったものを選ぶ、という手順で解く
  • 糸球体性血尿:IgA腎症・急性糸球体腎炎。変形赤血球や赤血球円柱、蛋白尿を伴う
  • IgA腎症は感染とほぼ同時に肉眼的血尿、急性糸球体腎炎は感染の1〜3週後に血尿・浮腫・高血圧。時間差で区別する
  • 急性糸球体腎炎の尿の色はコーラ色・洗肉水様(肉洗い水様)。「肉汁様」と表現されることもある
  • 非糸球体性血尿:尿路結石(疝痛+血尿)、膀胱癌・腎癌(痛みを伴わない肉眼的血尿)
  • 前立腺肥大症の主役は排尿症状(尿勢低下・残尿感・夜間頻尿)。血尿は典型症状ではない
  • 肉眼的血尿、とくに無症候性のものは悪性疾患の除外が要る。泌尿器科の受診を勧める
比較表
疾患血尿の位置づけ特徴的な所見
IgA腎症主症状(顕微鏡的〜肉眼的)上気道感染とほぼ同時の肉眼的血尿、持続する蛋白尿
尿路結石症高頻度にみられる側腹部〜背部の疝痛発作、CVA叩打痛、放散痛
前立腺肥大症主症状ではない尿勢低下・残尿感・夜間頻尿などの下部尿路症状
急性糸球体腎炎主症状(ほぼ必発)先行感染の1〜3週後、血尿・浮腫・高血圧・乏尿。尿はコーラ色〜洗肉水様
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