学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §7 診察各論 生命徴候 / QJ29P031

理由で解く 柔道整復師

QJ29P031 一般臨床医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問31
問題
検脈部位で適さないのはどれか。
選択肢
1 腕頭動脈
2 橈骨動脈
3 大腿動脈
4 足背動脈
解答
正解1(腕頭動脈)
解説

腕頭動脈は大動脈弓から起こって胸骨柄の後方(上縦隔)を走るため、体表から触れることができない。したがって検脈部位としては適さない。

脈を触れるには、動脈が体表近くを走り、かつその直下に骨など押し当てられる硬い支えがあることが必要である。橈骨動脈が最も広く使われるのはこの条件を最もよく満たすためで、他にも総頸動脈、上腕動脈、大腿動脈、膝窩動脈、後脛骨動脈、足背動脈などが検脈部位として用いられる。腕頭動脈は大動脈弓の最初の枝で、右総頸動脈と右鎖骨下動脈に分岐するまでの短い区間を胸骨の裏側で走行するため、皮膚の上から圧迫して脈を確認する手技が成り立たない。なお検脈では回数(頻脈・徐脈)だけでなく、リズムの整・不整、大きさ、緊張度、左右差を確認する。左右差や下肢の脈の減弱は動脈解離や閉塞性動脈硬化症を示唆する所見なので、気づいたら医療機関への受診につなげる。

✓ 1. 適さない(正解)
腕頭動脈
大動脈弓から分岐して胸骨柄の後方(上縦隔内)を走る短い動脈であり、体表から触知できないため検脈部位にならない。腕頭動脈の血流は、その分枝である右総頸動脈や右上腕動脈・橈骨動脈で間接的に評価することになる。
✗ 2. 適する(答えではない)
橈骨動脈
手関節の橈側で橈骨の掌側面を走り、骨に押し当てて触知できるため、最も一般的な検脈部位である。日常診療でまずここを触れるのは、体表に近く骨という支えがあるという条件を満たしているからである。
✗ 3. 適する(答えではない)
大腿動脈
鼠径靱帯直下の大腿三角で触知できる太い動脈で、ショックなどで末梢の脈が触れにくい状況でも確認しやすい。中枢側の循環が保たれているかを判断する際に有用な部位である。
✗ 4. 適する(答えではない)
足背動脈
足背の長母趾伸筋腱の外側で触知でき、下肢末梢の血行状態を評価するのに用いる。閉塞性動脈硬化症や糖尿病性の下肢虚血では減弱・消失するため、下肢のしびれや冷感を訴える患者では必ず左右を比較して確認したい。
ポイント
  • 検脈できる条件は「体表近くを走る」+「直下に骨など押し当てる支えがある」の二つ。
  • 腕頭動脈は上縦隔内(胸骨柄の後方)を走るため体表から触知できず、検脈部位に適さない。
  • 主な検脈部位:浅側頭・総頸・上腕・橈骨・大腿・膝窩・後脛骨・足背動脈。
  • 橈骨動脈は最も一般的、大腿動脈はショック時にも触れやすい、足背動脈は下肢血行の評価に使う。
  • 検脈では回数だけでなくリズム・大きさ・緊張度・左右差も確認する。
比較表
動脈触知部位検脈の可否と用途
腕頭動脈胸骨柄の後方(上縦隔内)触知不能。検脈に適さない
橈骨動脈手関節橈側最も一般的な検脈部位
総頸動脈胸鎖乳突筋前縁心停止の確認などに用いる(強い圧迫は避ける)
大腿動脈鼠径部(大腿三角)ショック時でも触知しやすい
足背動脈足背、長母趾伸筋腱の外側下肢末梢の血行評価
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