学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §4 リハビリテーション医学の評価と診断 / QJ29P018

理由で解く 柔道整復師

QJ29P018 リハビリテーション医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問18
問題
劣位半球由来の症状はどれか。
選択肢
1 着衣失行
2 観念失行
3 失算症
4 失語症
解答
正解1(着衣失行)
解説

着衣失行は劣位(非優位)半球、多くは右頭頂葉の障害で生じるため 1 が正しい。残りの三つはいずれも優位半球(多くは左)の症状である。

右利きのほぼ全員、左利きでも多くの人で左半球が言語を担う優位半球であり、右半球が劣位半球となる。優位半球の頭頂・側頭・前頭領域が障害されると、失語、失書、失算、観念失行や観念運動失行、さらに失算・失書・手指失認・左右失認をそろえたGerstmann症候群が出現する。一方、劣位半球では空間の把握や身体と物との位置関係を扱う機能が損なわれ、着衣失行、構成失行、半側空間無視、病態失認、地誌的失見当が現れる。「ことば・計算・道具の使い方は優位半球、空間と身体イメージは劣位半球」と束ねると整理しやすい。臨床では左半側空間無視のある患者は左側からの声かけや障害物に気づきにくく転倒・打撲の一因になるため、まず健側から声をかけて注意を引き、段階的に患側へ誘導する配慮が要る。

✓ 1. 正しい
着衣失行
衣服と自分の身体との空間的な関係を把握できず、袖に腕を通す・前後や裏表を合わせるといった着衣動作を組み立てられなくなる。空間・身体イメージを担う劣位半球(多くは右)の頭頂葉障害による代表的症状である。
✗ 2. 誤り
観念失行
物品の用途や使用手順そのものが崩れ、一連の動作を正しく遂行できなくなる失行で、優位半球(多くは左)の頭頂葉障害で生じる。劣位半球由来ではない。
✗ 3. 誤り
失算症
計算能力が失われる症状で、優位半球の角回付近の障害による。Gerstmann症候群の一徴候であり、失書・手指失認・左右失認と併せて現れることがある。
✗ 4. 誤り
失語症
Broca野・Wernicke野を含む言語領域の障害であり、優位半球の症状の代表格である。右利きではほぼ左半球病変で生じる。
ポイント
  • 優位半球(多くは左)=言語・計算・書字・道具の使用手順。失語、失書、失算、観念失行、観念運動失行、Gerstmann症候群。
  • 劣位半球(多くは右)=空間・身体イメージ。着衣失行、構成失行、半側空間無視、病態失認、地誌的障害。
  • 着衣失行は「服と体の位置関係を組み立てられない」ため更衣で手が止まる。運動麻痺だけでは説明できない点が鍵。
  • 左半側空間無視では左側の見落としから転倒・衝突が起こる。声かけと物品配置は健側から始め段階的に患側へ誘導する。
  • 半球優位は右利きでは左半球がほぼ確実、左利きでも多くは左半球が言語を担う。
比較表
優位半球(多くは左)劣位半球(多くは右)
担う機能言語、計算、書字、道具使用の手順空間認知、身体イメージ、注意の方向づけ
代表的な症状失語症、失書、失算症、観念失行、観念運動失行、Gerstmann症候群着衣失行、構成失行、半側空間無視、病態失認、地誌的失見当
臨床で困る場面指示の理解、意思表示、書類記入、道具の使用手順更衣、図形の模写、左側の見落としによる転倒・衝突
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