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理由で解く 柔道整復師

QJ29P004 衛生学・公衆衛生学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問4
問題
母子健康手帳で正しいのはどれか。
選択肢
1 健康保険証となる。
2 予防接種の記録を行う。
3 出生届により交付される。
4 大きさは統一されている。
解答
正解2(予防接種の記録を行う。)
解説

母子健康手帳は妊娠の届出を受けた市町村が交付する冊子で、妊娠期から就学前までの健康記録を1冊に集約するものです。定期予防接種の記録もここに残るため、正しいのは2です。

母子保健法では、妊娠した人は速やかに市町村長へ妊娠の届出をすることとされ(第15条)、市町村はその届出をした人に母子健康手帳を交付します(第16条)。つまり手帳は「生まれてから」ではなく「妊娠がわかった時点」から始まる記録媒体で、妊婦健診・分娩の経過・乳幼児健康診査・発育発達の記録・予防接種歴が時系列で1冊につながる点が最大の利点です。予防接種については、定期の予防接種を行った市町村長は予防接種済証を交付しなければならないとされる一方、母子健康手帳の交付を受けている乳児・幼児・妊産婦については、予防接種済証の交付に代えて母子健康手帳に証明すべき事項を記載することとされています(予防接種法施行規則第3条)。手帳への記載は「提示があれば書いてもらえる」という任意の運用ではなく、済証に代わる正式な接種証明だという点を押さえてください。これにより、転居しても、災害で医療機関の記録が失われても、保護者の手元に接種歴が残ります。なお手帳の中身は、内閣府令(母子保健法施行規則)で全国共通と定められた部分(妊娠中の経過や健診・接種の記録欄など)と、市町村が地域の子育て情報などを独自に載せる任意記載事項とに分かれており、判型・表紙・ページ数まで全国一律に統一されているわけではありません。ここで所管官庁にも注意が必要で、母子保健行政が厚生労働省からこども家庭庁へ移管されたことに伴い、様式を定める法令の形式は出題当時の「厚生労働省令」から現在の「内閣府令」に変わっています(母子保健法第16条第3項)。試験対策としては「国が定める全国共通の様式+市町村が決める任意記載事項」という二層構造を押さえてください。実務では、妊娠の届出をしたらその場で手帳を受け取り、健診・接種のたびに必ず持参して記載してもらう——この習慣づけが、後の接種歴照会や就園・就学時の確認をスムーズにします。

✓ 2. 正しい
予防接種の記録を行う。
母子健康手帳には予防接種の記録欄が設けられており、定期接種を受けた際は接種年月日・ワクチン名・ロット番号などが記載されます。この記載は予防接種済証の交付に代わる正式な証明であり、任意の運用ではありません(予防接種法施行規則第3条)。生涯にわたって参照できる接種歴の記録となるため、健診や受診の際は毎回持参するよう保護者に案内します。
✗ 1. 誤り
健康保険証となる。
母子健康手帳は母子保健法に基づく健康記録の冊子であり、医療保険の資格を証明するものではありません。医療保険の資格確認はマイナ保険証(健康保険証利用の登録をしたマイナンバーカード)または資格確認書で行い、母子健康手帳はこれらの代わりにはなりません(従来の紙・カード型の被保険者証は新規発行が終了し、既発行分の経過措置も終了しています)。手帳は「記録」、マイナ保険証・資格確認書は「資格確認」と役割を分けて覚えると混同しません。
✗ 3. 誤り
出生届により交付される。
交付のきっかけは出生届ではなく妊娠の届出です(母子保健法第15条・第16条)。手帳には妊婦健診や妊娠中の経過を書く欄があり、出生後に渡されたのでは妊娠期の記録が取れません。出生届は戸籍法に基づき出生後14日以内に市区町村へ提出する別の手続きで、戸籍への記載・住民票の作成につながるものと整理しておきます。
✗ 4. 誤り
大きさは統一されている。
全国で統一されているのは「記載しなければならない事項(府令様式=母子保健法施行規則で定める様式部分)」であって、冊子の大きさやデザインではありません。府令様式に加えて市町村が任意記載事項として地域の子育て情報や相談窓口を載せるため、判型・ページ数・表紙は自治体ごとに異なります。「中身の必須項目は共通、外見は自治体ごと」と押さえてください。
ポイント
  • 交付のきっかけは妊娠の届出。市町村長へ妊娠を届け出た人に、市町村が母子健康手帳を交付する(母子保健法第15条・第16条)。出生届ではない。
  • 妊娠中の経過・出産・乳幼児健康診査・発育発達・予防接種歴を、1冊で継続して記録できるのが最大の機能。
  • 定期の予防接種を行った市町村長は予防接種済証を交付するが、母子健康手帳の交付を受けている乳児・幼児・妊産婦については、済証の交付に代えて手帳に証明すべき事項を記載する(予防接種法施行規則第3条)。任意の運用ではなく済証に代わる正式な証明で、転居時・災害時・就園就学時の接種歴確認の拠り所になるため、健診や受診には毎回持参する。
  • 様式は「全国共通の府令様式(母子保健法施行規則)」+「市町村が決める任意記載事項」の二層構造。大きさ・表紙・ページ数は統一されていない。母子保健行政のこども家庭庁移管に伴い、様式を定める法令の形式は厚生労働省令から内閣府令に変わった(母子保健法第16条第3項)。
  • 医療保険の資格確認に使うマイナ保険証・資格確認書とは別物。手帳は健康記録であり、医療保険の資格確認には使えない。
比較表
手続き・書類根拠法提出先・交付者時期結果
妊娠の届出母子保健法(第15条・第16条)市町村(市町村長)妊娠がわかったら速やかに母子健康手帳が交付される
出生届戸籍法市区町村出生の日から14日以内戸籍への記載・住民票の作成
マイナ保険証/資格確認書
(従来の紙の被保険者証は発行終了)
健康保険法・国民健康保険法などマイナ保険証=本人がマイナンバーカードに健康保険証利用を登録(保険資格を紐づけ)/資格確認書=保険者が交付資格取得・扶養追加の手続き後(資格確認書はマイナ保険証を利用できない人に交付)受診時の医療保険の資格確認に用いる
母子健康手帳の構成決めるのは誰か内容の例全国で同じか
府令様式(必ず載せる部分)国(内閣府令=母子保健法施行規則。所管はこども家庭庁。出題当時は厚生労働省令)妊娠中の経過、乳幼児健康診査、予防接種の記録、発育曲線など同じ
任意記載事項市町村地域の子育て支援・相談窓口の情報、育児のアドバイスなど異なる(判型・表紙・ページ数も含め統一されていない)
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