学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ29A109

理由で解く 柔道整復師

QJ29A109 運動学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問109
問題
回旋の可動域が最も大きいのはどれか。
選択肢
1 頸椎
2 胸椎
3 腰椎
4 仙椎
解答
正解1(頸椎)
解説

脊柱で回旋可動域が最も大きいのは頸椎。椎間関節面が水平に近く回旋を許すうえ、環軸関節が単独で大きな回旋を担うためである。

脊柱の分節ごとの可動域は、椎間関節面がどちらを向いているかでほぼ決まる。頸椎(C3〜C7)の関節面は水平面に近い傾きをもち、回旋も側屈も許す。さらに上位頸椎では、歯突起を軸として環椎が回る正中環軸関節が片側約40〜45度の回旋を生み、頸椎全体の回旋(片側約60度)の大部分をこの1関節が担う。つまり残るC2〜C7の各分節が生む回旋は1分節あたりごくわずかで、頸部を回す動きは環軸関節が主役ということになる。胸椎の関節面は前頭面に近く回旋自体は可能だが、肋骨と胸骨で囲まれた胸郭が動きを制限する。腰椎の関節面は矢状面に近い向きで互いにかみ合うため回旋はほとんど起こらず、屈曲・伸展が主体となる。仙椎は5個が癒合して1個の仙骨となっており、分節間の運動は生じない。片側回旋の目安は頸椎 約60度、胸椎 約30〜35度、腰椎 約5度で、いずれも出典により幅のある概数である。

✓ 1. 正しい
頸椎
椎間関節面が水平に近く回旋を許すことに加え、環軸関節が歯突起を軸に大きく回るため、脊柱で最大の回旋可動域をもつ。
✗ 2. 誤り
胸椎
関節面の向きからは回旋しやすいが、肋骨と胸郭に固定されるため実際の可動域は頸椎に及ばない。
✗ 3. 誤り
腰椎
椎間関節面が矢状面に近くかみ合う構造のため回旋はごくわずかで、脊柱の中では屈曲・伸展を担当する部位である。
✗ 4. 誤り
仙椎
5個の仙椎は癒合して仙骨を形成しており、椎間の可動性はない。回旋は起こらない。
ポイント
  • 可動方向は椎間関節面の向きで決まる。水平に近い→回旋、矢状面に近い→屈伸。
  • 頸椎の回旋の大部分(半分以上)は環軸関節が担う。環軸関節が片側約40〜45度、頸椎全体で片側約60度。
  • 胸椎は関節面上は回旋向きだが、胸郭による制限を受ける。
  • 腰椎の回旋は片側約5度とごく小さく、屈曲・伸展が主体。
  • 仙椎は癒合しており分節間の運動はない。
  • 可動域の数値はいずれも目安。順位関係(頸椎>胸椎>腰椎>仙椎)で押さえるのが確実。
比較表
部位椎間関節面の向き片側回旋の目安主な可動方向
頸椎水平面に近い約60度(うち環軸関節が約40〜45度)回旋・屈伸・側屈すべて大きい
胸椎前頭面に近い約30〜35度回旋(胸郭で制限)
腰椎矢状面に近い約5度屈曲・伸展
仙椎癒合して仙骨ほぼ0度分節間の運動なし

※数値はいずれも目安で、出典により幅がある。頸椎の約60度は日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会の関節可動域表示による参考可動域、胸椎・腰椎の値は分節可動域の実測に基づく代表値であり、由来する系列が異なる点に注意する。試験対策としては部位間の大小関係を押さえておけばよい。

この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。