学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §5 消化と吸収 / QJ29A090

理由で解く 柔道整復師

QJ29A090 生理学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問90
問題
膵液で正しいのはどれか。
選択肢
1 アルカリ性である。
2 ペプシノゲンが含まれる。
3 セクレチンは分泌を抑制する。
4 膵リパーゼはグルコースを分解する。
解答
正解1(アルカリ性である。)
解説

膵液は重炭酸イオンに富むアルカリ性(pH8前後)の消化液で、胃から流れ込む酸性の粥状液を中和します。これが正しい記述です。

膵臓は外分泌部から1日約1〜1.5 Lの膵液を十二指腸へ出します。膵液の役割は2つで、(1)導管細胞が分泌するHCO₃⁻で胃酸を中和し、腸粘膜を守るとともに膵酵素が働ける中性〜弱アルカリ性の環境をつくること、(2)腺房細胞が分泌する三大栄養素すべての消化酵素(膵アミラーゼ・トリプシノゲンなどの蛋白分解酵素・膵リパーゼ)で消化を進めることです。分泌の調節はホルモンが担い、酸が十二指腸に届くとS細胞からセクレチンが出てHCO₃⁻に富む膵液を促し、脂肪や蛋白質が届くとI細胞からコレシストキニン(CCK)が出て酵素に富む膵液と胆嚢収縮を促します。「セクレチン=水と重炭酸、CCK=酵素と胆汁」と対で覚えると整理できます。

✓ 1. 正しい
アルカリ性である。
膵液は導管細胞から分泌される重炭酸イオンを多く含み、pHは8前後のアルカリ性です。強酸性の胃内容を中和して、膵酵素が最もよく働く環境を整えます。
✗ 2. 誤り
ペプシノゲンが含まれる。
ペプシノゲンは胃底腺の主細胞から分泌され、胃酸によってペプシンに変わる蛋白分解酵素の前駆体です。膵液に含まれる蛋白分解酵素はトリプシノゲンやキモトリプシノゲンです。
✗ 3. 誤り
セクレチンは分泌を抑制する。
セクレチンは十二指腸のS細胞が酸を感知して分泌するホルモンで、膵導管に働いてHCO₃⁻に富む膵液の分泌を促進します。抑制ではなく促進です(胃酸分泌に対しては抑制的に働きます)。
✗ 4. 誤り
膵リパーゼはグルコースを分解する。
膵リパーゼは中性脂肪(トリグリセリド)をモノグリセリドと脂肪酸に分解する脂肪分解酵素です。またグルコースはすでに単糖であり、これ以上分解される対象ではありません。デンプンを分解するのは膵アミラーゼです。
ポイント
  • 膵液はpH8前後のアルカリ性。導管細胞由来のHCO₃⁻が胃酸を中和する。
  • 膵液には三大栄養素すべての消化酵素がある:膵アミラーゼ(糖質)・トリプシノゲンなど(蛋白質)・膵リパーゼ(脂肪)。
  • セクレチン(十二指腸S細胞、酸が刺激)=水と重炭酸に富む膵液を促進。
  • コレシストキニンCCK(十二指腸I細胞、脂肪・蛋白が刺激)=酵素に富む膵液と胆嚢収縮を促進。
  • ペプシノゲンは胃主細胞から。膵液には含まれない。
比較表
消化液pHおもな酵素・成分分泌部位
唾液中性〜弱酸性唾液アミラーゼ唾液腺
胃液強酸性(pH1〜2)ペプシノゲン、塩酸、内因子胃底腺(主細胞・壁細胞)
膵液アルカリ性(pH8前後)膵アミラーゼ、トリプシノゲン、膵リパーゼ、HCO₃⁻膵外分泌部(腺房細胞・導管細胞)
胆汁アルカリ性胆汁酸(酵素は含まない。脂肪を乳化)肝細胞。胆嚢で濃縮
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