学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ29A071

理由で解く 柔道整復師

QJ29A071 解剖学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問71
問題
中大脳動脈が通るのはどれか。
選択肢
1 硬膜
2 クモ膜
3 クモ膜下腔
4 軟膜
解答
正解3(クモ膜下腔)
解説

脳を養う太い動脈は、クモ膜と軟膜の間の「クモ膜下腔」を走ります。中大脳動脈も例外ではなく、正解は3です。

脳は外側から硬膜・クモ膜・軟膜の3層(髄膜)に包まれています。このうちクモ膜と軟膜の間の隙間がクモ膜下腔で、脳脊髄液で満たされています。前・中・後大脳動脈も、それらの根元をつなぐ大脳動脈輪(ウィリス動脈輪)も、この液体の層に浮かぶように脳の表面を走り、必要な場所で細い枝(穿通枝)を軟膜から脳実質へ送り込みます。なお中大脳動脈自体は大脳動脈輪の構成要素ではありません。動脈輪をつくるのは前交通動脈・前大脳動脈・内頸動脈・後交通動脈・後大脳動脈で、中大脳動脈は内頸動脈がそのまま外側へ向かった枝として輪から分かれ出るだけです。その中大脳動脈は外側溝(シルビウス裂)の中を後上方へ走ります。この「太い動脈が脳脊髄液の中を裸で走っている」という配置こそが、脳動脈瘤の破裂がクモ膜下出血という形をとる理由です。

✓ 3. 正しい
クモ膜下腔
中大脳動脈は内頸動脈から分かれた後、クモ膜下腔を外側へ走って外側溝に入ります。脳の主要動脈・静脈はすべてこの腔を走行するため、「脳の血管はクモ膜下腔」と一括で覚えられます。
✗ 1. 誤り
硬膜
硬膜の層の中を走るのは中硬膜動脈(外頸動脈→顎動脈の枝)で、これは硬膜自体を養う血管であり脳には分布しません。側頭部の打撲でこれが破れると硬膜外血腫になります。血管の名前に「硬膜」が付くかどうかで区別しましょう。
✗ 2. 誤り
クモ膜
クモ膜は血管をほとんど持たない薄い膜で、血管が走るのは膜の内部ではなく、その内側にある腔です。「クモ膜」と「クモ膜下腔」は別物として読み分けてください。
✗ 4. 誤り
軟膜
軟膜は脳の溝の底まで密着する薄い膜です。クモ膜下腔を走った動脈がここを貫いて脳実質に入る細い枝は出しますが、中大脳動脈の本幹が軟膜の層の中を走るわけではありません。
ポイント
  • 髄膜は外側から硬膜→クモ膜→軟膜。脳の動脈・静脈が走るのはクモ膜と軟膜の間=クモ膜下腔。
  • 中大脳動脈は内頸動脈の続きで、外側溝(シルビウス裂)の中をクモ膜下腔として走る。
  • 中大脳動脈は大脳動脈輪の構成要素ではない。動脈輪をつくるのは前交通動脈・前大脳動脈・内頸動脈・後交通動脈・後大脳動脈。
  • クモ膜下腔は脳脊髄液で満たされる。ここでの動脈破裂がクモ膜下出血。
  • 硬膜の中を走るのは中硬膜動脈。これが切れると硬膜外血腫。
  • 「脳の動脈=クモ膜下腔」「硬膜の動脈=硬膜内」とペアにすると混同しない。
比較表
層・場所そこを走る主な血管破綻したときの出血
硬膜の中中硬膜動脈硬膜外血腫
硬膜とクモ膜の境架橋静脈(脳表から上矢状静脈洞へ)硬膜下血腫
クモ膜下腔中大脳動脈などの脳動脈、大脳動脈輪クモ膜下出血
軟膜より内側(脳実質)穿通枝(レンズ核線条体動脈など)脳内出血
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