学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ29A056

理由で解く 柔道整復師

QJ29A056 解剖学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問56
問題
写真(別冊 No. 1)を別に示す。橈骨神経溝はどれか。
図
選択肢
1 1
2 2
3 3
4 4
解答
正解2
解説

橈骨神経溝は、上腕骨体の後面を内上方から外下方へ斜め(らせん状)に横切る浅い骨の溝で、橈骨神経と上腕深動脈が通る。写真では2がこれにあたる。

写真は上腕骨を後面から見たもので、上端の丸い骨頭と、下端中央の大きなくぼみ(肘頭窩)が向きを見分ける目印になる。橈骨神経溝(螺旋溝)は骨幹部の後面ほぼ中央にあり、上腕三頭筋外側頭の起始(溝の上外側)と内側頭の起始(溝の下内側)を分ける境目にあたる。溝の中を橈骨神経と上腕深動脈が並んで下り、神経はやがて外側筋間中隔を貫いて上腕の前外側に現れ、肘の高さで浅枝と深枝に分かれる。神経が骨面に直接接して走るため、上腕骨骨幹部の中央から遠位1/3の骨折では橈骨神経が同時に損傷されやすく、手関節と手指MP関節を伸展できない下垂手と、手背橈側(第1・2中手骨間背側)の感覚障害を生じる。上腕骨の骨指標は高さで整理すると混同しない。近位には骨頭・解剖頸・外科頸・大結節・小結節と、その間を縦に走る結節間溝(上腕二頭筋長頭腱が通る。溝そのものは大結節と小結節の間にあり、遠位では大結節稜と小結節稜がその縁をなす)があり、骨幹には橈骨神経溝と三角筋粗面、遠位には内側上顆・外側上顆、内側上顆の後面の尺骨神経溝、そして肘頭窩・鉤突窩・橈骨窩がある。写真の1は骨頭と大・小結節の境である解剖頸、3は内側上顆、4は外側上顆を指しており、いずれも斜めに走る「溝」ではない。

✓ 2. 正しい
2
上腕骨体の後面を外下方へ斜めに走る浅い溝で、上腕三頭筋の外側頭と内側頭の起始の境をなす。ここを橈骨神経と上腕深動脈が走ることから橈骨神経溝(螺旋溝)とよばれ、これが正答となる。同じ高さの骨折で下垂手を合併しやすい部位として臨床的にも重要である。
✗ 1. 誤り
1
1が示すのは上腕骨頭と大結節・小結節との境を斜めに走る解剖頸で、関節軟骨に覆われた骨頭のふちを画する浅い境界線である。ここを走る神経や血管はなく、骨幹部後面をらせん状に下る橈骨神経溝とは高さも意味も異なる。なお両結節のすぐ下でくびれる部位は外科頸といい、骨折が多く腋窩神経を損傷しうるのはこちらである。解剖頸と外科頸を取り違えないこと。
✗ 3. 誤り
3
3が示すのは上腕骨遠位の内側に大きく突き出す内側上顆で、前腕の屈筋・回内筋群の共同起始となる隆起である。隆起であって溝ではないので橈骨神経溝には当たらない。紛らわしいのはその後面にある尺骨神経溝で、そこを通る尺骨神経は皮下で浅く、打撲や肘部管症候群で障害されて鷲手を生じる。橈骨神経溝が骨幹部後面の中央を斜めに横切るのに対し、尺骨神経溝は肘の内側に限局した短い縦の溝である。
✗ 4. 誤り
4
4が示すのは上腕骨遠位の外側の隆起=外側上顆で、前腕の伸筋群の共同起始である(ここの付着部が痛むのが上腕骨外側上顆炎=テニス肘)。これも隆起であって溝ではない。両上顆の間、写真の遠位中央に見えるくぼみが肘頭窩で、肘を伸ばしたときに尺骨の肘頭が入る。肘頭窩と前面の鉤突窩にはさまれた部分は骨質が薄く、小児の顆上骨折はこの高さで起こる。
ポイント
  • 橈骨神経溝(螺旋溝)=上腕骨体の後面を内上方から外下方へ斜走する浅い溝。写真では2
  • 溝を通るのは橈骨神経と上腕深動脈。上腕三頭筋外側頭と内側頭の起始の境をなす
  • 骨幹部中央〜遠位1/3の骨折で橈骨神経麻痺=下垂手+手背橈側の感覚障害
  • 写真の1=解剖頸(骨頭と大・小結節の境。骨折が多く腋窩神経を傷めるのは下方の外科頸)、3=内側上顆(屈筋・回内筋群の共同起始)、4=外側上顆(伸筋群の共同起始)
  • 結節間溝は近位前面で上腕二頭筋長頭腱、尺骨神経溝は内側上顆の後面で尺骨神経を通す
  • 肘頭窩(遠位後面)・鉤突窩・橈骨窩(遠位前面)は関節運動のための「窩」で、溝と区別する
比較表
高さ上腕骨の骨指標特徴・付着/通るもの関連する障害
近位解剖頸(写真の1)骨頭と大・小結節の境をなす浅い境界線。走る神経・血管はない骨折はまれ。多いのは下方の外科頸骨折(腋窩神経損傷)
近位結節間溝前面、大結節と小結節の間の縦の溝。上腕二頭筋長頭腱が通る長頭腱炎・長頭腱脱臼
骨幹橈骨神経溝(写真の2)後面をらせん状に外下方へ。橈骨神経・上腕深動脈が通る骨幹部中央〜遠位1/3骨折での下垂手
遠位内側上顆(写真の3)前腕の屈筋・回内筋群の共同起始。後面に尺骨神経溝がある尺骨神経障害(肘部管症候群・鷲手)
遠位外側上顆(写真の4)前腕の伸筋群の共同起始上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
遠位肘頭窩・鉤突窩・橈骨窩後面/前面のくぼみ。伸展時に肘頭、屈曲時に鉤状突起・橈骨頭が入る肘頭窩と鉤突窩の間は骨質が薄く、顆上骨折の好発部位
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