学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §15 肩鎖関節上方脱臼の診察および整復 / QJ29A012

理由で解く 柔道整復師

QJ29A012 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問12
問題
肩鎖関節上方脱臼の整復法で誤っているのはどれか。
選択肢
1 助手は患者の後方に立つ。
2 助手は患者の両上腕部を把持する。
3 術者は患肢を前下方に牽引する。
4 術者は患側の鎖骨遠位端部を下方へ圧迫する。
解答
正解3(術者は患肢を前下方に牽引する。)
解説

整復は「鎖骨遠位端を下へ、下垂した上肢を上へ」と上下から挟み込む操作。患肢を前下方へ牽引するとした3が設問の答え。

肩鎖関節上方脱臼は、肩鎖靱帯・烏口鎖骨靱帯が損傷して肩峰(肩甲骨側)が上肢の重みで下方に落ち込み、鎖骨遠位端が相対的に上方へ突出した状態である。したがって整復は、鎖骨遠位端を下方へ押し下げると同時に、下がった上肢(肩甲骨)を上方へ押し上げ、離れた肩峰と鎖骨を再び近づける操作になる。助手は患者の後方から両上腕を把持して両肩を後方に引き、胸を張らせて鎖骨の走行を整える。ここで患肢を前下方へ引くと、肩峰がさらに下がって転位を助長してしまう。整復位は保持が難しいので、続く絆創膏固定などで押し下げ・押し上げを持続させることが要点となる。

✗ 1. 正しい記述(答えではない)
助手は患者の後方に立つ。
後方から両肩を引くための位置。左右対称に後方へ引いて胸を張らせる。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
助手は患者の両上腕部を把持する。
両上腕をとって後方へ引くことで、肩甲帯全体の位置が整い、術者の整復操作が効きやすくなる。
✓ 3. これが誤り(正解)
術者は患肢を前下方に牽引する。
前下方への牽引は肩峰をさらに下げ、鎖骨遠位端との段差を広げてしまう。患肢(上腕)は上方へ押し上げるのが正しい方向。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
術者は患側の鎖骨遠位端部を下方へ圧迫する。
上方に突出した鎖骨遠位端を押し下げる操作で、整復の主役にあたる。上肢の押し上げと同時に行う。
ポイント
  • 上方脱臼の本態は、鎖骨が上がったというより肩峰(肩甲骨側)が下がって段差ができた状態。
  • 整復方向は「鎖骨遠位端を下へ」+「上肢を上へ」の同時操作。
  • 助手は後方から両上腕を把持し、両肩を後方へ引いて胸を張らせる。
  • 患肢を前下方へ引くのは転位を助長するので行わない。
  • 整復位の保持が難しく、絆創膏固定などで持続的な押し下げ・押し上げが必要。
比較表
対象加える力の向き目的
鎖骨遠位端下方へ圧迫突出した鎖骨を押し下げる
患肢(上腕・肘)上方へ押し上げる下がった肩峰を持ち上げる
両肩(助手)後方へ引く胸を張らせ鎖骨の走行を整える
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